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ヘルスケアの未来

ストレスチェック義務化にも対応予定。メンタルを守るスマホアプリとは

WINフロンティア株式会社

手軽にココロのセルフケアを可能にした「COCOLOLO」

2015年12月から始まったストレスチェック制度の義務化を受けて、あらためて心の健康への関心が高まっている。そこで注目を集めているのが、スマートフォンを活用したストレスチェックアプリ「COCOLOLO(ココロ炉)」だ。

COCOLOLOは、スマートフォンのカメラに指先を約30秒間当てることで皮ふの色の変化から心拍のゆらぎ(変動)を検出し、画面に「ストレス・リラックス度」の傾向や「カラダの元気度」を表示する無料アプリ。測定したデータはカレンダー形式で蓄積され、ストレス負荷の傾向も見られる。テレビなどで度々取り上げられており、アプリダウンロード数も着実に増加を続けている。

COCOLOLOを提供するWINフロンティア株式会社の板生(いたお)研一代表取締役社長兼CEOは、一橋大学を卒業後、英国ケンブリッジ大学でMBAを取得。ソニーに入社してエレクトロニクス事業およびエンターテインメント事業に従事した経歴を持つ。ヘルスケア領域については門外漢だったものの、WINフロンティア起業後に順天堂大学医学部博士課程で心拍変動解析とパフォーマンスを研究している。

COCOLOLOは、スマートフォンさえあれば誰でも導入し、自分のメンタルの状態を「見える化」できる手軽さが受けているが、そこにはセンサー技術や解析等の知見が生かされている。ストレス不調の予防対策として、ストレスチェック制度実施の努力義務が発生する企業の活用を期待したいと板生氏は言う。

ストレス度数を測定し、最適な癒やしアイテムをオススメ

このユニークなアプリは、板生氏が、父である板生清東京大学名誉教授が立ち上げた特定非営利活動法人ウェアラブル環境情報ネット推進機構(略称WIN)と関わることから生まれた。板生教授は「生体情報をセンシングする技術をウェアラブル情報ネットサービスによって社会に役立てたい」と考え、胸に貼る小型の心拍センサーを開発。

同センサーの販売はWINフロンティアが現在請け負っているが、販売先は専門知識を持つ大学や研究所向けが中心であり、そこにある種の課題感を抱えていたと板生氏は語る。

「病気であれば医療機関と連携することで一時的に解決しますが、メンタルヘルスケアには解消や予防のソリューションがより重要になるため、自分でメンタルヘルスの状況を把握できることが重要だと考えました」

そこで板生氏は、ストレスを簡易に見える化し、ストレス解消法に直接結びつけ、既に普及しているデバイスを使うことでセンサーを無料化したいと考えた。それを実現させたのが、スマートフォンアプリのCOCOLOLOだ。

「現在は個人のセルフケアだけでなく、ストレスチェック制度義務化に伴い、企業向け機能として、厚生労働省推奨の57問のストレスチェックができる機能を準備しています。これによって、契約企業は、ストレスチェックの情報収集から分析まで行えるようになる予定です」

またCOCOLOLOには、単にストレスチェックを行うだけでなく、ストレスや疲れなどを感じたときに「今の状態に合う、癒やし効果がある音楽」や「気持ちを前向きにさせる書籍」などを提案する機能が備えられている。スマートフォンでストレスを測定、気持ちの状態を8つに分類し、さらに状態に応じた癒やしコンテンツまでオススメしてくれる無料アプリというユニークさが口コミで広がり、音楽のダウンロードやスパ利用の割引クーポン配布といったパートナー企業とのサービス連携も既に始まっている。

「最近では鳥取県智頭町(ちづちょう)、および地元企業と連携して森林セラピーアプリの開発も行いました。ストレスを抱えている社員がいれば、自然豊かな土地でのんびりと森林浴をしてもらうのが森林セラピーですが、数年間の取り組みの末、今回のアプリリリースに至りました」

森林浴という効果が直接見えにくい施策も、COCOLOLOを用いることで結果が見える化できるようになった。さらに板生氏は「森林浴は豊かな自然があればできるもの。観光資源に乏しい町に人を呼び込み、地方を盛り上げるためのツールとなる可能性も、COCOLOLOにはあると感じています」とも語った。

2016年はデータ解析とウェアラブルセンサーの開発に

これまでに蓄積してきたデータや分析結果をもとに、板生氏はアプリCOCOLOLOを著者として、2015年12月19日に初の書籍『30秒でココロのストレスチェックができ自律神経が整う本』(ゴマブックス)を上梓。監修は順天堂大学医学部の師である小林弘幸教授だ。

スマートフォンアプリCOCOLOLO自体も順調にシェアを広げている。2015年9月にはiOSヘルスケア&フィットネスランキング1位になり、同年12月現在のダウンロード数は75万件を突破。その成果を踏まえて2016年は、ダウンロード数の伸長と利用の継続、そして数百万という規模で蓄積されたビッグデータの解析に着手したいと考えているという。

「ストレスチェックの結果に共感しているユーザーは、アプリにオススメされたコンテンツを利用する確率が高い」と言う板生氏。今後、さらなるデータの蓄積と解析が進めば、測定結果の精度が向上するだけでなく、年齢や性別、居住地、職種、時間帯別などのストレス特性も見えてくるようになり、メンタルヘルスの改善により寄与できる可能性が高まる。

また、板生氏は次世代のウェアラブルセンサーの開発も視野に入れている。「現在のようにスマートフォンに一定時間触れなくてはいけないというものではなく、意識せずにデータ化できるようなデバイスを作りたいと考えています。そうなればさらに幅広いソリューションの提案ができるプラットフォームを作れるはずです」

目に見えないストレスを可視化し、解決していくというヘルスケアの未来像を実現するために、板生氏の取り組みはとどまることを知らない。

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