探そう、まだ見ぬ未来を。

ヘルスケアの未来

いま必要な一杯を生成する夢の飲料サーバ

ドリコス株式会社

新しい「飲む」体験を創造する

日本のヘルスケアの未来に新風を巻き起こすとされ、にわかに注目を集めているプロダクトがある。「healthServer(ヘルスサーバ)」。ドリコス株式会社が開発している、一人一人のその時の体の状態に合わせてサプリメントドリンクを自動調合してくれる飲料サーバだ。

ドリコスは、竹康宏代表取締役が慶應義塾大学理工学研究科大学院生だった2012年に創業。集積回路や半導体の研究を主とするなかで、まったく畑違いにも思える事業に乗り出した。「論文で重視される回路や半導体などの性能や品質は、世間一般のユーザーにとってあまり身近なものではありません。そこにギャップを感じていて、日常を理工学で面白くすることにチャレンジしようと考えました」と起業への思いを振り返る。そこで目を向けたのが、「飲む」という人間にとって不可欠な行動だ。「毎日のことだから、価値ある体験にしたい。そのために技術をもって『飲む』を変えていきたいんです」

体が求める栄養ドリンクを随時カスタマイズ

2015年6月からスタートしたhealthServerの開発に至る契機として、創業時に取り組んでいたpattle事業がある。これはマイボトルユーザーのための飲料販売機「pattle」の設置を拡大することでペットボトルのゴミ問題解決を目指した事業で、キャンパスベンチャーグランプリテクノロジー部門最優秀賞や同文部科学大臣賞、iSB公共未来塾社会事業プランコンペ優秀賞など、多数の賞を受賞。期待を背負って2014年にサービスを開始したものの、業績は伸び悩んだ。商品がペットボトル飲料として販売されていたものと同じだったため、マイボトルユーザーならではのメリットを提供できなかったことが大きな要因だった。

「お客様から『pattleでしか飲めないものが欲しい』というご要望をいただいたんです。そこで『カスタマイズ』や『飲むだけで健康に』というキーワードが浮かび、healthServerの着想に結びつきました」

healthServerは、連携したウェアラブルデバイスやスマートフォンのアプリに「今まで何をしていたか」「これから何をするか」といった自分の状態を入力すると、その情報をもとに必要な栄養素を判断し、オリジナルのサプリメントドリンクを生成してくれる。「健康になるためには、体の状態を知ることと、状態を知ったうえでアクションを起こすことの2つのステップがあります。健康状態を測定できるステップ1を実現するツールはたくさんあります。しかし、ステップ2の「食事制限する」「運動する」など、具体的にどういったアクションを起こすのかは結局その人次第であり、多くの人が足踏みしてしまう。そこで我々はhealthServerを通じて、ワンストップかつ手軽に、飲料で健康をサポートすることにしたのです」

未来を想起させる仕様が心をくすぐる

healthServerは、デスクやベッドサイドに置けるコンパクトなサイズ。海外展開を視野に入れ、デザイン は日本の重箱をモチーフにした。1段目は水のタンク、2段目はコントロールユニット、3段目には栄養成分の単剤8種がカートリッジ式で入っており、それらを組み合わせることで約400種のサプリメントドリンクが出る仕組みとなっている。「重箱と一緒で、4段目5段目と拡張できる仕様です。健康維持セット、美容セット、アスリートセットのようなテーマに沿ったパッケージも考えており、またご家族の人数分重ねることも可能になっています。プロトタイプで15cmの正方形ですが、いろいろな箇所に置いていただけるよう12cmくらいまで小さくしたいですね」

また、コントロールユニットの両サイドには心電図を測定できる装置を設置。触れるとストレス度、疲労度、フィットネスレベルが表示され、アプリを利用せずともその結果に応じて最適なサプリメントドリンクを生成してくれる。どこか未来的で楽しい体験だ。「このような仕掛け作りは大切にしていきたいんです。healthServerはある意味ロールプレーイングゲームの主人公が手に入れる回復ドリンクのようなイメージ。『あの世界が現実にやってきたんですね』という声を聞けたら、私たちもうれしいですね」

ターゲットは企業のオフィス、一般家庭、スポーツジムの3つの柱を想定。2016年4月から試験的に導入を行い、本格的なサービス開始は2016年冬頃を予定している。サーバ本体をレンタルし、栄養成分のカートリッジを販売するモデルでの提供を検討中だという。

サプリメントの摂取が日常的な行為に変わる

国内のサプリメント・健康食品の市場規模は約1.5兆円。サプリメントは食品に分類されるため、薬事法で具体的な効果をうたうことはできなかった。しかし2015年4月に施行された食品表示法のもと機能性表示食品制が導入。サプリメント・健康食品の具体的な効果をアピールしやすくなったことで、市場はさらに伸びていくだろうと予測する。「健康維持のためにサプリメントを飲むという選択が広がっていき、healthServerがそれを手助けできる存在として一家に一台置いていただけるようになったらいいですね」

竹氏は三次元集積する半導体チップやモジュールを柔軟に組み替えるための研究を行っている。この技術をいかし、商品の出荷後も機能やセンサーをユーザー自身でアップデートできるというのもhealthServerの強みだ。

「healthServerの『飲む×技術×健康』、pattleの『飲む×技術×エコ』のように、ドリコスは『飲む×技術×○○』を軸とするサービスを提案していきたい。『飲む』ことの意味を突き詰めて成長していく企業を目指しています」と語る竹氏。ドリコスのビジネスには胸を高鳴らせる夢が詰まっている。この感情に訴えかける視点こそ、ヘルスケアの今後を担う要なのかもしれない。

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