探そう、まだ見ぬ未来を。

ドローンの未来

ロボットと人間の共生を目指すスタートアップの挑戦

株式会社スカイロボット

ただ「飛ばす」から「飛ばして活用する」へ

今となっては、「ドローン」という言葉を聞いて、ピンと来ない人の方が少数派だろう。しかし、姿形のイメージはついたとしても、映像などではなく、実際に飛ばしていたり、活用されていたりするシーンを見たことがある人は、まだまだ少ないかもしれない。

「空撮に使える。測量に使える。検査に使える。農薬散布に使える……ドローンを活用したさまざまな利用用途は確かに存在します。しかし、それらが実際のビジネスシーンで活用されている事例はごく限られています。ただ飛ばすことだけで十分楽しめた時期を脱し、いよいよ『飛ばした後に何をやるか』を本格的に考え始めたと言えるでしょう」

そう語るのは、株式会社スカイロボットの貝應(かいおう)大介代表取締役だ。スカイロボットは「ロボット・ソリューションによる未来社会への貢献」というミッションのもと、現在はドローンやそれに付随する周辺機器、アプリケーションの開発や販売・レンタル、そしてドローンパイロットを育成するスクールの運営などを手がけている。

「ドローンはあらゆる業態にマッチする、非常に可能性があるプロダクトです。しかし、膨大な選択肢があるが故に、どうやって生活の中にインストールすべきなのか、市場全体が迷っています。また、他の産業に比べれば法の改正もスピーディーに進められていますが、それでもヨーロッパやオーストラリアと比較するとまだまだです。そうしたドローン先進国の事例をどう取り込むかが、今後一層重要になってくるでしょう」

続けて貝應氏が指摘するのが、理想と現実とのギャップだ。例えば、ドローンの活用方法の代表例として、ビルやトンネルなどの壁面にあるクラック(ひび割れ)の検査がある。従来は足場の設置や高所作業車などが必要だったが、ドローンを活用することで大掛かりな準備が不要となり、大幅なコスト削減と工期短縮を実現できるという。「問題は、そのドローンを誰が操作するのか、ということです」と、貝應氏は指摘する。どんなに高性能なドローンがあったとしても、それを操作するパイロットがいなければ無用の長物になってしまう。

「話をしていくと『何かスイッチを押せば勝手に全部やってくれるのでは?』と考えていらっしゃる方も多いんです。ドローン=最先端であるといった先入観から、何でもできてしまうという誤解があります。ボタン1つで全自動で……という形になるまでには、おそらく年単位の時間が必要でしょう。それまでの間に、その理想と現実の溝を埋めることも、私たちスカイロボットの役割だと考えています」

ドローンをインフラにするための挑戦

スカイロボットはドローンにまつわる幅広い事業を展開しているが、いわゆる製造業をメインには置いていない。「現在は海外製の素晴らしいドローンがAmazonなどで簡単に買えますから」と、貝應氏は笑う。

「最初はMade in Japanにこだわったドローン開発も進めようとしていましたが、中国をはじめとするドローンメーカーが安価かつ品質も良いドローンを提供するようになり、方針を転換しました。レーザースキャナーやサーモグラフィーカメラなどの販売代理契約を結び、具体的な活用方法をソリューションとして提供したり、パイロット育成の学校を運営したりと、ドローンが一般社会で広く受け入れられるための土台づくりにかじを切ったのです」

事実、ドローンに関するスクールへの問い合わせは絶えないという。ドローンを仕事にしたいという個人もいれば、社内に「ドローンを活用した新規事業を立ち上げたい」と門をたたく人もいる。しかし、何をどうすべきかというイメージが湧かない。そこにスカイロボットの蓄積してきた知見が役立っているのだ。

「20万円もしないドローンが1台あれば、カメラやセンサーなどを活用して膨大な情報が収集できます。例えば消防関係者などに、取得できた情報や映像を見せると驚かれ、『すぐに導入したい!』と言われますが、消防は特に異動が激しい組織なので、各消防署に1〜2名ずつパイロットを配置しても、すぐに異動してしまってパイロット不在の署が出てしまうと考えられます。そうした可能性を指摘し、行政とも連携をとっています」

一方で、ドローンそのものの進化も著しい。おそらく1〜2年後には特別な練習や技能を必要とせず、自動で飛行するドローンもできあがると目されている。法規制や事故発生時の責任所在、保険などの問題もあるが「技術が確立されているのに、それ以外のしがらみでドローンの本領が発揮できない事態は避けなくてはなりません」と貝應氏は言う。

海外ではエクストリームスポーツの一環としてドローンレースの開催も頻繁に行われている。観客はドローンに備え付けられたカメラの映像をゴーグル越しに見て、大迫力のスピード感や臨場感を楽しむといった具合だが、日本の場合は映像を飛ばす送受信機が電波法によって規制されており、海外同様の体験ができなくなっている。「課題は山積しています。だからこそ、それをどうクリアにしていくかが楽しいですね。ドローンを飛ばす、その先に何をやるのか。試行錯誤の連続ですよ」

空から海へ。スカイロボットの目指す未来図とは

貝應氏いわく「ドローンは『枯れた技術』の集合体」なのだとか。技術の進化によってバッテリーの大容量化やカメラやセンサーの小型化などはあるが、姿勢制御用のジャイロや飛行位置を知らせるGPS、通信技術などは、既存の完成された技術であるといえる。長く利用され続け、安全性が一定以上担保されているからこそ、ここまで急速に普及しているとも言える。

「直立歩行のロボットなどは、まだ技術的に未成熟な点が大きいので実利用は難しい点も多くあります。一方、ドローンはある種完成された技術がほとんどなので、爆発的に普及するのは間違いないでしょう。もともと当社は災害現場などで活用できるロボットを広く普及させることを目指してスタートした会社です。ドローンに限らず、ロボットで世の中を少しでも助けられるソリューションを作っていきたいんです」

そんな貝應氏が次に見据えるステージは、意外にも「海」だという。「社名にスカイと入っているのですが」と笑いつつ、ドローンと海中で動くロボットには共通項が多いと話す。

「ジャイロによる姿勢制御はもちろんですし、推進力はプロペラかスクリューかの違いでしかありません。気流と海流の違いはありますが、抵抗を受けつつ安定を保つという基本コンセプトも同様です。海底資源の探査や魚群探知、普段は見ることができない深海の映像をエンターテインメントとして提供するなど、その可能性は無限にあります」

今後数年間は、まさにドローンの勃興期として、絶え間なく進化を続けていくだろう。しかし、ドローンを活用したビジネスはまだまだブルーオーシャンだ。将来がどうなるのかは、貝應氏も「まったく先行きが見えない」という。

「完全に見通しが立っていない領域だからこそ、それを切り開いていくような気概のある仲間が集っている、とも言えます。それはエンジニアもセールスも変わりありません。そもそも、誕生して間もないドローンのプロフェッショナルなんて、世界中探してもほとんどいないわけですから、自分たちがそうなっていく必要があります。新たな地平を切り開く、そんな情熱を秘めた仲間が集まれば、このスカイロボットはもっともっと面白くできると確信しています」

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