探そう、まだ見ぬ未来を。

クルマの未来

パーソナルモビリティという新カテゴリーを創出する

WHILL株式会社

WHILLが生活を変え、周りの目を変えた

スタイリッシュなデザインのコンパクトなボディーに、高い走破性と直感的な操作性を備えたパーソナルモビリティ「WHILL」。24個の小さなタイヤで構成される全方位に方向転換可能な前輪で、身軽な小回りを実現。さらに、四輪駆動のパワーで段差や坂道も身構えることなく移動可能だ。360度、行きたい方向に、直感的にコントローラーを傾けるだけで移動でき、変速やシートのスライドは手元のスイッチで簡単に行える。

このWHILLがやってきたことで生活が変わった人がいる。多くは車椅子ユーザーや歩行に困難を抱える人々だ。ある青年は「WHILLで出かけるときはいつもよりオシャレしようと思う」と言い、WHILLに乗って診察を行う医師は患者の子供たちから「先生かっこいい!」と憧れのまなざしで見られるようになったと言う。「出かける頻度が3倍になった」人もいれば、「4年ぶりに郵便受けに新聞を取りに行けた」人もいる。

WHILLは日本だけでなくアメリカでも販売されている。「アメリカのユーザーからはWHILLに乗ることで、街でかけられる言葉が『May I help you?』から『Cool!』に変わったと聞きました。『見た目なんて気にしない』堂々としたイメージのあるアメリカ人にとっても、この差は大きい」と語るのは、WHILLの創業メンバーの一人でもある、福岡宗明代表取締役兼CTO(最高技術責任者)だ。WHILLを手にした人たちに共通しているのは、よりアクティブに楽しく、自分らしく生活できるようになり、何より笑顔が増えた、ということだ。

ユーザーに寄り添うプロダクト開発を

「100m先のコンビニに行くのを諦める」。一人の車椅子ユーザーのこのひとことがWHILL開発の原点だ。

「すぐ近くへの外出も、段差や溝といった物理的なバリアに加え、車椅子に乗って出かけること自体に対する不安やためらいという心理的なバリアを抱えていると。その話を聞いて、『それなら、走破性も良くて、めちゃくちゃカッコいいものをつくったらどうなる?』と考えたところからWHILLははじまっています」

ものづくりに携わる仲間たちとNPOでプロジェクトを立ち上げて開発に乗り出し、2011年に東京モーターショーでプロトタイプを発表。そこで想像以上の大きな反響を得た。生活のなかでさまざまな制約を余儀なくされている車椅子ユーザーから期待の声を聞く一方、既存の車椅子メーカーの社長からは、別の印象的な言葉をかけられた。

「その方からは『プロトタイプで期待させておいて、結局商品化しないのはとても罪なことだ』という言葉をいただきました。その言葉に納得した僕たちは、必要としてくれる人々にきちんとWHILLを届けるため、現在の創業メンバー3名で2012年に法人化。まずは車椅子ユーザーの多いアメリカにプロトタイプを持ち込み、徹底した現場調査を行って開発に取り組みました」

アメリカの人口は日本の約2.5倍程度だが、電動車椅子ユーザー数は日本の約8倍だという。福岡氏たちは、モールやリハビリテーションセンターに出かけ、数百名にヒアリングを行ったり、試乗を依頼したりした。フィードバックされる意見は本質的なものが多く、WHILLの開発は、プロトタイプの開発、ユーザー調査を繰り返し、着実に進化を続けた。そして2014年秋、WHILLの量産化に成功し、「WHILL Model A」として発売。夢物語に終わらない、必要とする人に確実に届くプロダクトとなった。

誰が見ても乗りたいと思えるパーソナルモビリティへ

製品化にこぎつけた「WHILL Model A」だが、今後もプロダクト自体の進化は続けていくという。「現在、新たにSIMとGPSを搭載、さらにソフトウェア開発による、新しいサービスの実験も開始しています」

また、WHILLのプロモーション活動も多岐にわたって積極的に行っていくという。「今はまだ『WHILL=電動車椅子』と見られることもありますが、その認識自体が変わっている手ごたえを感じています。将来的には『WHILL』という単語だけで何のことか通じる、そんな存在になりたいです。そのためにも、街でWHILLが走っている機会をもっと増やしたいですね」

すでにシェアリングサービスや提携店での試乗サービス、個人レンタルなどもはじめている。カッコいいから、便利だからという理由で、健常者もWHILLを選びうる時代がやってくるかもしれない。

「僕たちが描いているのは、開発当初からずっと変わらず、すべての人が楽しくスマートに移動できて、笑顔になれる、そんな未来です。そのために今はハードのエンジニアだけでなく、IoTエンジニアや営業のスキルをもった人材も積極的に採用しています。自分たちが目指す未来は1ミリたりともブレさせるつもりはありません。『すべての人の移動を楽しくスマートに』。この思いに共感してくれる仲間が少しずつ増えていったら、素直にうれしいですね」

電動車椅子ではなく、パーソナルモビリティという新たなカテゴリー創出に挑むWHILL。夢と情熱を共有する若き精鋭たちのフロンティア精神が、世界を変えていく。

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