探そう、まだ見ぬ未来を。

ビジネスモデルの未来

「海外で勝つ日本をつくる」20代社長が手がける海外進出支援プラットフォームの可能性

株式会社Tryfunds

海外進出に踏み出せない企業に、解を見せる

人口減少で国内市場が縮小していくなか、多くの日本企業が海外市場に活路を見いだそうとしている。すでに海外進出を果たしている企業も少なくはないが、成功しているのはまだごく一部。日本とは消費者ニーズも商慣習も異なる海外でのビジネスに悪戦苦闘している企業も多く、こうした前例を見て、海外進出に二の足を踏んでいる企業もある。「そんな企業の背中を押し、ともに走り、海外進出を成功に導く。それが私どものミッションです」と語るのが、株式会社Tryfundsの丹野裕介代表取締役CEOだ。

Tryfundsは2012年に24歳だった丹野氏が立ち上げた、海外進出支援コンサルティング会社だ。創業から5年ほどのスタートアップだが、すでに400件近い海外進出プロジェクトを支援。クライアントには大手・上場企業も多く、日本企業と海外大手企業とのM&A・パートナーシップ締結など、大規模なプロジェクトを成功に導いた実績も数多くある。その躍進の理由はどんなところにあるのだろう。

「我々は戦略を提案したり、アドバイスしたりするだけでなく、実行の部分まで徹底的につきあいます。国内市場が縮小していくなか、海外に活路を見いだすしか生き残る道がないことは、多くの企業も頭では理解しています。しかし、海外進出には困難が多く、新たな投資も必要です。それでいて、短期的にすぐに利益が出るとも限りません。そのため、なかなか海外進出への一歩を踏み出せない企業が多いのも現実です。そこで我々がともに併走し、成功するまで導き、解を見せてあげる必要があると考えています」

企業が海外進出をするうえで立ちふさがる壁、解決すべき課題は多岐にわたる。その壁や課題を一つ一つ消していく。それが、同社が創業以来ひたすらやってきたことだ。

「海外でのビジネスを担う人材がいないなら、そのような人材を私たちがヘッドハンティングします。技術的な課題があるのなら、その支援もします。資本が足りなければ、投資家を探して出資してもらうところまでやります。このように、お客様が海外進出をするためのあらゆる要望に応えているうちに、弊社の業務範囲は自然と広がっていきました」

当初、戦略策定や市場調査から事業を始めた同社だが、今ではマーケティングからM&A・資金調達の支援、さらに人材採用やクリエーティブ、テクノロジーの分野まで、幅広いサービスを展開。各分野に精通したプロフェッショナルが社内に在籍しており、コンサルティングファームでありながら、小川健太郎取締役CTOを筆頭にエンジニアも活躍している。

「おかげさまで弊社は、強い人的ネットワークを持つ商社や大手企業からもさまざまな紹介の依頼や相談をいただいています。現地に赴き、徹底的に自分たちの足を使い、インターネットだけではリーチできない情報を手に入れることに努めてきました。それが私たちの強みであり、今では大きな財産になっています。ですが、これらはすべて構想を温め続けていた新サービスのための布石だと捉えています」

海外と日本企業を結ぶBtoBサービス「BIZIT(ビジット)」

今、日本国内では人口減少やデフレの影響などもあり、モノが売れにくい時代にある。一方、世界に目を向ければ、まさに経済の急成長フェーズを迎え、モノが飛ぶように売れていく国もある。一時話題をさらった「爆買い」のように、高品質な製品を求めるニーズは世界中にあるものの、日本企業がきちんとリーチできていないのが現状だという。さらに、良い製品を作ろうとするあまりにビジネスチャンスを損なっていることもあるそう。

「日本企業は海外でも日本のやり方に固執する傾向があり、いまだにプロダクトアウト的な発想から抜けきれていません。海外の顧客から『品質は落としてもいいから、価格を下げるように』との依頼があっても、かたくなに応じないことがある。ですが、中国やASEAN諸国などの企業は、相手の要望にあわせて自分たちの製品、さらにはビジネススタイルを柔軟に変えていくことを当たり前にやっています。『いいものを作れば売れる』のではないことを真正面から受け止め、国や地域ごとのニーズをきちんと捉えること。そして、その実情に合わせた商品開発やマーケティングに挑戦しなければ、日本企業はどんどん海外で勝てなくなってしまう」

そのような状況のなか、Tryfundsは新たにオンラインBtoBサービス「BIZIT」を立ち上げた。これまで自分たちが行ってきた海外進出支援の知見や情報をネット上に蓄積し、自分たちが介在しなくても、顧客同士でコミュニケーションを取り合い、日本企業の海外進出を支援することを目指している。

日本やアメリカ、ブラジル、南アフリカ共和国などに拠点を置き、世界58カ国との強いパイプ、ネットワークをもっている同社の知見を、誰もが簡単に得られるようにする。足で稼いだ現地の市場調査結果やマーケティングノウハウを発信することで、日本と海外の壁を越えていくことを「BIZIT」では目指している。創業以来、各国政府の政治家や、国を代表する企業のトップらとのコネクションを築きあげてきた成果が集約されるプラットフォームは一朝一夕でつくれるものではなく、Tryfundsならではと言える。驚くべきことに、丹野氏はこの構想を、Tryfundsを立ちあげる前から考えていたという。

「構想から8年の歳月をかけ、会社を設立し、必要な資金を調達できる体制、CTOを含めた信頼できる経営ボードを固め、ようやくローンチ​の目処を立てることができました​。最近の起業で多いリーンスタートアップとは真逆のスタンスかもしれません。『BIZIT』は、これまで私どもがリアルのビジネスで培ってきた経験や知見のまさに集大成です。私どもがやりたいのは、日本企業による海外進出への挑戦の数を飛躍的に増やすこと。海外進出を考えるすべての企業にとって有益で、そこでの挑戦が蓄積され、日本の資産になるようなオンラインプラットフォームを目指しています」

挑戦を蓄積することで、より大きな挑戦を応援し続けたい

Tryfundsの社名は、「挑戦」を「蓄積させる」との意味からつけられた。「未来をよくする挑戦を増やし、それを蓄積して資産とし、それによってさらに大きな挑戦をする。そのようなカルチャーを日本につくりたい」との思いが込められている。白髪亮太取締役CFOは次のように語る。

「我々は何かに追随しているのではなく、前には誰もいないフロンティアを走り続けてきたという自負があります。もちろん、前例がない分、うまくいかないことも数多くあります。それでも新たなマーケットをつくっていく気概がある。みんなで協力しながら壁を乗り越えていけることに価値を感じていただけるのであれば、きっとTryfundsの雰囲気は肌に合うでしょう」

Tryfundsはコンサルティングファームでありながら、CTOが在籍するなど、テクノロジスト集団としての顔も持つ。その同社が求めるエンジニアについて、小川健太郎取締役CTOはこう語る。

「誤解を恐れずにいえば、弊社はエース級のエンジニアだけを求めています。高いレベルで広範囲の技術をカバーできるジェネラリストか、なんらかの分野で突出したスペシャリストのいずれかですね」

自信にあふれた言葉の裏には、日本のSI業界の構造的な問題や、優秀なエンジニアに対する期待が隠されている。日本の開発現場の多くはピラミッド構造の労働集約型で、大人数で一つのプロジェクトを動かすことが一種の常識として扱われてきた。だが、Tryfundsはその真逆をいく組織でありたいという。

「WebやITの世界は、本質的には優秀な一人のエンジニアが一般的なエンジニアの10倍、100倍のパフォーマンスを生み出すことも可能な世界です。『BIZIT』をはじめ、手がけるプロジェクトの規模が大きくなったとしても、人数を増やすことで解決するのはスマートではない。たとえ組織がある程度属人化してしまうとしても、少数精鋭を貫きたいと考えています」

日本企業はバブル崩壊して失われた20年のなかで自信をなくしたと言われて久しい。やや後ろ向きになっている日本社会全体に向けて、20代の丹野氏は力強いエールを送る。

「今の日本は、海外と比較して新しい挑戦にためらう、あるいは挑戦をあざ笑うような空気が漂っていると感じる場面もあります。そのような状況を打ち破るスタープレーヤーが、日本にはもっともっと必要ではないでしょうか。そこでまず私たち自身が日本と海外をつなぐスタープレーヤーになる。そして、Tryfundsの挑戦から得られた成果を積極的に発信することで、新しいチャレンジャーを支援する存在であり続けたいと思っています」

LATEST POST