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ビジネスモデルの未来

あらゆるECビジネスに「リピート」を。時代が生み出した「リピートIT」という考え方

テモナ株式会社

商売の本質はリピート購入にあり

商売の本質とは、繰り返し購入してくれるお客様をどれだけつかまえられるかだ。これは実店舗であっても、ECビジネスであっても変わらない成功の鍵だといえる。テモナ株式会社は、この「リピート」という消費者の行動パターンに着目し、「たまごリピート」「ヒキアゲール」「たまごサブスクリプション」という3つの主力サービスでEC業界に変革を起こそうとしている注目のベンチャー企業だ。

まず「たまごリピート」はECサイトでの定期購入や頒布会など、継続購入を専門とするショッピングカート付き通販システムだ。リピーターを増やすことによるECビジネスの成功。これに必要な機能を一つに集約した、独自性の高い商材となっている。「ヒキアゲール」はオンラインでオフラインと同様のWeb接客を実現することにより手軽にコンバージョン率を改善できるサービス。閲覧者の性別や年齢、購入履歴などをリアルタイムに判別し、事前に設定した仮説に沿って、購入へとつなげてくれる。新サービスとなる「たまごサブスクリプション」では、EC事業者がサブスクリプションコマース事業を立ち上げるための全般的なサポートを行っている。

そして、これらのサービスの根底にあるのは、「買って終わり」で完結しがちだったフロー型のビジネスモデルを、「何度も購入してもらえる」ストック型のビジネスモデルへ転換するという革新的な思想だ。一度だけの販売で終わってしまう、売り上げが流動的なフロー型に対し、定期的な取引が生まれ、売り上げが安定するストック型は、ビジネスの継続性や効率性、収益性においても明らかに優位な立ち位置を築くことができる。

もちろん、購入する側にとっても定期購入による割引が発生するなど、メリットを感じられる点も多い。事業者と購入者、双方に価値を提供できるサービスなのだ。リピート顧客数の確保が必要だという理解はありつつも、多くの事業者がその獲得に苦慮し、同業他社との厳しい競争にさらされている状況を改善すること。それこそが、テモナのビジョンともいえる。

自身の経験がストック型ビジネスの大切さを学ぶきっかけに

代表取締役社長を務める佐川隼人氏が「リピート」に注目するようになったのは、過去に自社のビジネスモデルの転換を迫られたことがきっかけとなっている。以前手がけていたシステムの受託開発業務が、ビジネスを継続していくなかで多くの問題点をはらんでいたからだ。

「受託開発はいわゆる労働集約型のビジネス。人が動き続けないと収益が生まれませんし、人の能力が低ければ当然低い収益になってしまいます。創業当時は私と2名の社員で仕事を回していましたので、顧客も数社しか抱えられない状況にあり、そこから1社でも取引を打ち切られてしまうと、経営へのインパクトが非常に大きかったのです。永続的に発注していただけるような絶対的な関係性でもない限り、受託開発はあくまでもフロー型。外的要因に左右される要素が強すぎると感じていました」

このままのビジネスモデルで会社をスケールさせていくのは難しい。そう考えた佐川氏は、自社のモデルをフロー型からストック型へ移行させるにはどうしたらよいのかを考え始める。ちょうどそのころ、とあるサプリメントの販売業社にECサイトの構築を依頼されたことが大きな転機となった。

「そのクライアントさんは何千人という顧客を抱えていて、顧客一人一人が繰り返し同じ商品を買い続けていました。サプリメントという商品特性上、1回購入して終わりではなく、継続して飲用し続ける必要がある。『なるほど、これはスゴい』と素直に感心しました」

そこで佐川氏は気づく。繰り返し購入させる「リピート」の仕組みを開発した経験・ノウハウをパッケージングすれば、ニーズはあるのではないか。そして、そのシステムそのものを月額制にし、固定客を獲得できれば、自分たちもストック型ビジネスに移行できるのではないか、と。

「当時はそうした仕組みをネットで効率的に管理できるサービスは存在しておらず、事業者は同様のシステムが必要になると、個別に数千万円もかけて発注していました。それならば、私たちがクラウドサービスとして提供し、月額制でやっていこうと決めるまでに、時間はそうかかりませんでした」

こうしてネットショッピングのリピーターを作り、増やすという自社のアイデンティティーが確立され、サブスクリプションコマースへと大きくかじを切ることとなった。このもくろみは見事に当たり、現在「たまごリピート」は1,000社以上が導入し、市場シェアでナンバーワンを達成するサービスへと成長している。

リピーターを獲得できる魅力あるサービスだけが生き残る時代に

「ほんの数年前までは、定期的に購入するものは限られていたと思います。例えば新聞や常用薬、サプリメントくらいでしょうか。でも、今はデジタルコンテンツにまでサブスクリプションコマースが浸透してきていますよね」と語る佐川氏。そのなかでも急先鋒は、Amazonプライムだという。

「今やAmazonはECだけの会社ではありません。プライム会員になれば、当日配達が可能になったり、まとめ購入割引が利いたりするだけでなく、映画や音楽、電子書籍などのコンテンツも手に入る。通販で商品を購入しないときでもお金を払いたくなるほどのロイヤルティーがあるわけです。そして、お金を払っている以上、他で商品を購入することは少なくなる。ユーザーの囲い込みが見事なケースですよね」

Apple Music、HuluやNetflixをはじめ、ランチパスポートやエアークローゼットなど、デジタルコンテンツ以外でもグルメやアパレルといった領域にまで定額制の波は押し寄せている。佐川氏はこうしたサブスクリプションモデルは、これからのサービスの主流になると予想する。

「お客さんに一度買ってもらって終わりでは、日本国内のマーケットで考えると最高でも1億2,000万回程度。限られたマーケットのなかでは繰り返し買ってもらわないとそもそも成り立たないんです。だから、しっかり仕組みを設計して、何度も買ってもらえるモデルを作ることは必須だと思っています。商売の基本中の基本ですが、ではそのリピーターを抱えるにはどうするべきか、どういうサービスを組めばいいのか、という視点が意外とおざなりになってしまいがち。商品力やコストパフォーマンスばかりに目が向いてしまっている点に、リピートを作る仕組みさえ加わればというジレンマがあるんですよ」

EC事業を展開する企業にとって、「たまごリピート」と「ヒキアゲール」「たまごサブスクリプション」は人員2名ほどの経済的なメリットをもたらしている。クライアントのビジネス展開期間よりも1,000社ほどの事例を見てきたテモナのサービス運営期間の方が長いことが多いため、その実績やノウハウの蓄積を機能として提供するこれらのサービスは、年商10億円規模のECサイトにも高い効果を発揮するという。商品力とサービス力を磨くのはクライアント、リピート率を高めるのはテモナ、このすみ分けでシナジーを生み出すのが今までの必勝パターンとのことだ。

今後はサービスのフルラインアップ展開を事業目標にしていると佐川氏は語る。それは主力サービスのほかにさらなるサービスを立ち上げることを意味している。

「今はお店にお客さんが来て、購入してもらうという領域でビジネスをしていますが、お店にお客さんを呼んで来るところ、また購入してもらった後のお客さんのケアのところ、この2つの部分に注力していきたいですね。購入前はメディアプラットホーム、購入後はIoTの分野になってくると思います。例えば、購入してもらった消耗品があとどれくらい残っているかがわかれば、なくなるタイミングでその商品を届けることができますし、全然使っていなければ、ぜひ使ってみてくださいねとプッシュもできる。そんな未来が到来すると考えるとワクワクしませんか?」

この構想を2~3年でしっかりとやりきり、5年後には年商100億円、年間流通額を2兆円にまで届かせたいというテモナ。最終的にはECサービスのベンダー日本一を目指して、今日も佐川氏はまい進する。

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