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ビジネスモデルの未来

世界初となる企業のCSR・CSVに特化した、参加体験還元型・社会貢献サービス『e-Pod』とは

TAAS株式会社

年々、CSRやCSV活動に対する取り組みへの興味関心が高まりを見せている。CSRとは「corporate social responsibility」の略称であり、CSVとは「creating shared value」の略称である。日本語に訳せば「CSR=企業の社会的責任」「CSV=共有価値の創造」となる。海外企業のCSR・CSV活動について一例を挙げてみると、たとえばAmazon傘下のザッポスは、有給ボランティア休暇やイヌ・ネコの殺処分への取り組みを行っている。他には英コスメブランドLUSHは売り上げの全てが寄付となるボディクリーム「チャリティポット」を販売している。

このように企業としての利益追求だけでなく、社会的にどのような責任を果たすことができるかということも、企業は考えていかなければならないのだ。日本でも社員によるボランティア活動の実施や、非営利団体への製品寄贈などを行う企業などが出つつあるが、欧米諸国ほどCSR・CSVの取り組みが活発に行われていないというのが現実だ。また、日本では「CSR=社会的貢献や企業イメージの向上」といった側面が強く見られがちだが、ヨーロッパなどでは消費者に対するイメージ向上を狙った活動はCSRとして評価されないといったように、CSRやCSVの捉え方もさまざまだ。

国内企業のグローバル化が求められる時代において、ビジネスロジックだけではなく、CSR・CSV にも注目が集まるなか、産声を上げたのがTAAS株式会社による世界初となる企業が参加体験還元する社会貢献サービス『e-Pod(イーポッド)』だ。ティザーサイトがリリースされたのは、2017年4月27日。そして同年9月29日、本サービスがローンチされた。

「『e-Pod』を発表して、事前通知で利用者を募ると累計で1,500件以上集まりました。想定通り、個人の方が企業よりも多いですが、今後は企業もポーズだけではなく、より実践的に導入いただけて自ら資源を創出できる社会にしたい。また個人版も順次ローンチしますが、玄関先に『e-Pod』があれば『ちゃんと環境意識や社会貢献を実践している人だね!』という感覚にしていきたいです。そうさせるには根付かせる必要があります」

こう語るのは同社の大越隆行CEO。具体的に『e-Pod』とはどのようなサービスなのか。そのアイデアの源泉、そしてCSR・CSVの未来とはどのようなものなのだろうか。

当たり前な光景に問題意識を持つ

『e-Pod』は不要なチラシ類はもちろんのこと、オフィスの破棄する機密書類やプリント用紙をはじめとする古紙全般を専用の箱に詰めて送ると、それを資源に作られたオフィス用品のコピー用紙やメモ帳、来客用のコースター、名刺入れやノートに至るまで、日常業務で使用する必需品に変えて導入企業のオフィスに届くという還元するところまでをWebサービスで可視化した世界初のサービスだ。このユーザー参加体験型の社会貢献というアイデアの原点について大越氏はこう語る。

「自分自身の日常生活において、2~3ヶ月に1度、仕事でフィリピンと日本を往復することがあり、自宅のマンションを空けることが多かったんです。ただでさえ、郵便ポストをあまり開けてチェックする方ではなかったのですが、自宅に届く郵送物などをどうしても放置してしまいがちでした。入っているチラシは新築マンションの物件情報や新装開店した飲食店やパチンコ店、水回りのトラブルを解決する会社の宣伝などが大半でした。そして、他の住人の方を見ていても、郵便受け近くにあるゴミ箱に捨てているわけです。どんなチラシが届いているかは分かっているのに、『チラシをゴミ箱に捨てる』という同じ動作を繰り返す。何故ある程度何がポストに入っているか分かっているのに、皆同じ行動をとり、ゴミ箱に捨てるんだろうと。そこにすごい違和感がありました」

大越氏が感じた違和感は、再生・変換の発想へとシフトしていく。必要のない紙を再生し、再処理し、自分の手元に日用品として帰ってくる。まさにエコロジーな世界観だ。ただ、それだけでは単なるリサイクルと変わらない。大越氏が注目したのは「ユーザー体験」だった。リサイクルセンターなどに資源ごみを持ち込んだとして、それがどのように加工され、製品化され、自分たちの手元に届いているのかは可視化されていない。大越氏はそこに一種のゲーミフィケーションの考え方を持ち込んだ。つまり「どれだけの無駄なものを送れば、自分に生活必需品が届くのか」といった点を見える化することで、『e-Pod』独自の体験を作りあげている。

ただし、個人は粗大ゴミを除いてごみ処理に対価を払う文化が日本にはないという課題がある。そこで、企業活動に目を向けたという。

「もともとは個人向けサービスとして企画を考え始めましたが、企業であれば既に機密情報処理、廃棄物処理などの代替サービスが存在します。そこで、まずはここを『e-Pod』でリプレイスしていきたいと考えています」

廃棄物処理には多くのプレーヤーが存在しているが、『e-Pod』が世界初とうたっているのは、ユーザー参加型の社会貢献に対する体験だ。そして、資源を処理に回して終わりではなく、CSR貢献のサイクルを回すことを意味する。「e-Pod」は企業ごとにマイページを設け、箱数や資源の重量などを可視化する。これまではプレスリリースや企業が直接配信していたCSR活動がWebで公開される世界になるという。

「企業が特別な何かをする必要はありません。日々の業務のなかに社会貢献が組み込まれていく。そうした世界を生み出したいと考えています」

日本郵便をロジスティクスパートナーに。スタートアップが日本の未来を変える挑戦

『e-Pod』はまず3種類の料金プランを用意して企業のCSR・CSV活動を支援する。古紙回収を通じて日常業務で必要となるアイテムが手に入るだけでなく、『e-Pod』を企業が導入した時点で、売り上げの一部を慈善団体へ寄付する機能などもつく。今後更にいろいろな展開を練っている真っ最中だという。企業活動のなかに自然とCSR・CSVを根付かせる大越氏が描いた世界観はプレスリリース配信と同時に注目を集めた。その結果、日本郵便株式会社とのロジスティクスパートナー契約の締結に至ったという。

「今の日本においては、CSR・CSV・社会貢献に本腰を入れて活動している企業は少なく、残念ながら『とりあえず』『おまけでやっている』という感覚も多分にあると感じています。そうではなく、実務的に企業として『e-Pod』でこのような取り組みをしています、とハッキリ言えたほうが、社員一人一人も貢献しているという実感を自然と得られるのではないかと思っています。そうした活動をきっかけに、また新たなCSR・CSVの取り組みがスタートするかもしれません。また、僕たちの思いをブランディングや自社PRに使っていただいて、全く構わないと思っています」

大越氏は企業側がブランディングや自社PRに『e-Pod』を使用する点については「資源が創出され、再利用されることこそ、最も重要なこと」と補足する。大切なのは、企業側が自然に社会貢献している実感を得られること。単発ではなく、永続的に社会貢献する。そうした思考を経て、企業の社会貢献がより強固なものに変化していく。

『e-Pod』の未来について聞くと、「最初は紙に絞ったビジネスとなるが、ゆくゆくは紙以外にも着手する計画を立てている」と大越氏は語る。その意識が向かっているのは、世界で「ポイ捨て」をなくすことにもつながっているという。「日常的に出るゴミを可能な限り、再処理・再資源化していきたい」と語る大越氏の目は真剣だ。そして、CSR・CSVに国境はない。近い将来「e-Pod」は海外展開も見越している。

「ヨーロッパ、ドイツ、フランス、イギリスも、日本ほど紙文化ではないですが、環境意識は強く根付いています。それぞれの国や地域によって文化や習慣は全く異なりますが、この日本で『e-Pod』を普及させることができれば、大きな一歩になるはず。まずは日本からスタートし、根付かせていく。グローバルな視点でユーザー参加体験型の社会貢献を根付かせていきたいですね」

リサイクルに関しては、ガラス製品や缶のリサイクル率9割を超えるスイスをはじめ、ドイツやオーストリア、アイルランドといった欧米諸国に比べると、日本は「リサイクル後進国」にとどまっているのが現状だ。しかし、『e-Pod』をはじめとする製品やサービスが、企業と個人、双方の意識を変えていくことで、環境問題や社会貢献についてより真剣に考えるようになるのかもしれない。TAASの挑戦は、まだ始まったばかりだ。

『e-Pod』を通じて、世界が環境に対する意識や行動が変わっていく日もそう遠くないかもしれない。

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