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ビジネスモデルの未来

「中国」に見いだす日本の可能性と未来。「クラウド・ネイティブ時代」をけん引するSBクラウドの挑戦

SBクラウド株式会社

中国におけるパブリッククラウドサービスの驚異的な浸透、発展から、われわれは学ぶべきことが多い。キャッシュレス化やビジネスにおいての活用だけではなく、今やクラウドは中国の生活インフラの基盤を担っている。国民の与信プラットフォーム「芝麻(ジーマ)信用」などのように、そこから新しい概念や価値観が生まれ、それが国民の生活にポジティブな形で定着し始めている。クラウドは単なるサービスの域を超え、国家のOSを丸ごとバージョンアップしてしまった、といっても過言ではないかもしれない。クラウド産業を重点的に支援する国の方針もあり、その市場規模は依然として拡大し続けている。

中国からこうした革新的な技術、そしてビジネスの在り方を取り入れることで、競争力を高めようとしている会社がある。それが、SBクラウド株式会社だ。

中国のあらゆるインフラを担う「Alibaba Cloud」

SBクラウドは、2016年1月、ソフトバンク株式会社とアリババグループのジョイントベンチャーとして設立された。主な事業内容は、パブリッククラウドサービス「Alibaba Cloud」の設計、開発、輸出入および販売。「Alibaba Cloud」は、「AWS(Amazon Web Service)」「Microsoft Azure」に次ぐ、世界第3位のパブリッククラウドサービスである。その強みは、人口13億を超える中国において最大のシェアを持つことだ。今や世界最大級のビジネス大国である中国において、デジタルメディアやエンターテインメントなどの各サービスから、EC、決済や金融、物流、マーケティングにいたるまで、ありとあらゆる分野において「Alibaba Cloud」が基盤の役割を果たしている。

そのアリババグループは、「ニューリテール」「ニューマニュファクチャリング」という考え方を提唱している。「ニューリテール」とは、購買や決済などのデータを収集、分析、活用することで、オンラインとオフラインが融合した「新たな小売り」を作るという構想を指している。たとえば、ある大型スーパーでは、「Alibaba Cloud」を活用することで全く新しい消費者体験を生み出している。顧客が入店した際、顔認証システムで属性を認識して最適な広告をリアルタイムで配信。購入の際は無人レジにてQRコード認証と顔認証によるスマート決済が行われる。さらに退店後に、AIが最適化したルートを導き出し商品が配送される。もちろん、何がどれだけ売れているかをリアルタイムで可視化することで、品出しやプロモーションにその場で反映させていくことができる。

同じように、「Alibaba Cloud」を活用することで、新しい製造業の在り方を実現するのが、「ニューマニュファクチャリング」という構想だ。工場内のプロセスを可視化することで、欠品率、欠陥率の管理をして改善につなげていく。製造工程効率化、省エネ化、予防保全などの効果が見込まれ、やはり製造業界からの期待は大きい。

ビジネスサイドだけでなく、行政機関との連携も進んでいる。中国では、人口増加に伴う渋滞の深刻化、交通事故の増加が大きな課題となっている。そこで動き出したのが「City Brain構想」だ。各車両、交差点、防犯カメラから収集した交通データをリアルタイムで分析。バスルートの変更や信号機制御によって渋滞を改善し、交通事故や交通違反を起こした不正車両の検知などにも貢献することができる。その他にも、大気状況分析、水質測定、街灯管理、レンタサイクルなど、「Alibaba Cloud」が便利で快適な街づくりのために果たすことのできる役割は大きい。

来たるべき「クラウド・ネイティブ時代」に向けて

これからは、どの業界、どの業種においてもこうしたクラウド化の波は避けられないといえる。そしてそれは日本においても同じだ。「Alibaba Cloud」を日本に導入することで生まれる新たな可能性は計り知れず、だからこそSBクラウドは挑む。「クラウド・ネイティブ時代」の到来を前にして、齊藤浩二 営業本部 本部長はこう語る。

「SBクラウドが扱うクラウドサービスは、あくまでも部品でしかない。それを使ってお客様のビジネスにどう貢献できるか。ソリューションとしてのクラウドの在り方を提案し、仕組みをデザインしながら、日本企業へのアプローチを進めている」

既に導入を始めている企業、もしくは強い興味を持っている企業も多いという。「AWS」や「Microsoft Azure」といった競合となるプレーヤーが存在しているものの、こうした「巨人」に対して「価格だけで勝負はしない」と齊藤氏は自信をのぞかせる。

「同業各社よりも価格は低く抑えていますが、低価格を売りにリプレイスしていくのでは、我々自身もわくわくしない。それよりもお客様は我々が提案する新しい仕組み、ソリューションに大きな期待をもってくれていると思います」

アリババグループが中国で実現できているサービスを、今の日本でどう実現するのか。クラウドのポテンシャルを最大限に発揮することによって、今ある市場に刺激を与えていくことに、SBクラウドは本気で取り組んでいる。

また、奥山朋 技術統括部 技術部部長は「ネット上で散見される、安易な『日本対中国』といった考え方はしていない」と語る。既に中国にある成功例を取り入れつつ、日本独自の強みと掛け合わせて、日本の国際競争力を高める。それこそがSBクラウドの方針だと断言する。

「日本は経済規模の大きな島国で生まれ育った国民性からか、世界一を取りにいくよりも、内需を狙いにいく企業が多かった。しかし、世界とつながる機会が増えたことで『世界に挑戦する』という視点を持った企業も増えてきたように感じます。こうした企業の多くは新しいものを導入することに積極的なフロンティア企業群です。彼らとどんどん新しい事例を作り、それを日本中に展開していきたいと考えています」

日本展開におけるSBクラウドならではの強み

SBクラウドが、今後さらにサービスを広めていくためのカギは、莫大な法人顧客を誇るソフトバンクグループ各社とのシナジーだ。ソフトバンクグループには、もちろんヤフーも含まれる。「日本において、ソフトバンク・ヤフーを掛け合わせたときのパワーは、AmazonやMicrosoftに匹敵するだろう」と齊藤氏は語る。サービスの魅力を広めていくにあたっては、全国を網羅するソフトバンクグループの強力な営業体制を活かすこともできる。

大企業群のパワーを活かしながらも、ベンチャーらしく、個性が尊重される、自由で、透明性の高い職場環境も魅力の一つだ。出身国もバックグラウンドも異なるメンバーが肩を並べながら、日々、試行錯誤とチャレンジを重ねている。

そして、最先端テクノロジーへの投資に非常に積極的であり、新しい技術に触れ、それをお客様に提案できる環境に惹かれて、SBクラウドには多くのエンジニアやセールスが集まっている。

その中で特に親和性が高いのは、お客様の経営課題を理解したうえで新しいソリューションを提案できる人。つまり、ビジネス感覚に富んだ、コミュニケーションスキルの高いエンジニアだという。同様にセールスの社員は、常に新しいテクノロジーやサービスの情報にアンテナを張っており、それがお客様への最適な提案につながっていく。

SBクラウドが目指しているのは、「価格帯でシェアを獲得すること」ではない。単にクラウドサービスを提供するだけでなく、最先端テクノロジーとアジア各国での実績とノウハウを掛け合わせ、課題を解決する「ソリューション」を提供するビジネスパートナーとなることだ。SBクラウドが仕掛ける、日本のシステム基盤を根幹から変えうる挑戦は、まだ始まったばかりだ。

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