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ビジネスモデルの未来

「守りを突き詰めると、攻めに変わる」。あらゆる産業を支え、強くする「監査法人」の戦い方

PwCあらた有限責任監査法人

グローバリゼーションやデジタライゼーション、先進的なテクノロジーやビジネスモデルの台頭による規制緩和など、経営を取り巻く環境は日々刻々と変化し続けている。こうしたカオスにも近いビジネス市場において、企業がゲーム・チェンジへと挑むなかで必要なのは、イノベーションを起こすアイデアと行動力、そして確実なリスク管理だと言えるだろう。

PwCあらた有限責任監査法人(以下、PwCあらた)は、PwCのグローバルメンバーファームの一員として、グローバルナレッジに基づいたアシュアランス(監査業務、保証業務)と、この知見に基づいたアドバイザリーを提供している。いわばリスク管理のプロフェッショナルだ。同法人は数多くのクライアントのビジネスを監査するなかで、現在は5つのメガトレンド―急速な都市化の進行、気候変動と資源不足、人口構造の変化、世界の経済力のシフト、テクノロジーの進歩―をビジネス戦略に組み込み、多くの企業を支援し続けてきた。

そして2017年から、アマゾン ウェブ サービス(AWS)やMicrosoft Azure(MS Azure)をはじめ、世の中の主要なクラウドサービス事業者にも対応した「クラウド アドバイザリー&アシュアランスサービス」の提供を本格的に開始。PwCあらたの饒村吉晴マネージャーは、同法人のミッションについて「『社会や経済基盤に求められるリスク・コントロールの仕組み化』を支援している」と説く。

あらゆるビジネスには仕組みとルールが必要であり、守られなければならない絶対的なボーダーラインがある。ここで大切なのは、テクノロジーが進化することに伴い、新しいルールが必要となるという点だ。一見すると「ルールをつくり、破らせない」という「守り」のイメージを抱かれがちな監査という役割。しかし、饒村氏の言葉を聞くことで、違った意味合いを持っていることが分かった。

監査とテクノロジー、2つの強みが生み出す独自性

「クラウド アドバイザリー&アシュアランスサービス」を新設した背景には、業界・業種を問わず、デジタライゼーションの波により、クラウド利用の流れが加速しているという事実が存在している。特に顕著なのが数年前まではクラウドの活用が敬遠されていた基幹システムへの適用だ。

ビジネスのコアにまで活用されるようになったクラウドサービスだが、そのためにはGRC(Governance・Risk・Compliance)という課題と向き合う必要がある。同法人は会計監査のプロフェッショナルとして培ってきた知見、そしてテクノロジー領域における知見の双方を生かすことで、AWSやMS Azureをはじめとした主要なクラウドサービスを対象に支援を行っている。饒村氏は「現在、デジタルトランスフォーメーションの機運が高まっている」と語る。

「膨大なデータを扱うには、オンプレミスではなくクラウドが効率的なのは明白です。こうした市場の変化のなかでも、監査法人である私たちが、市場のニーズに応じてサービス展開ができるのは、監査のプロであると同時にデジタルの仕組みを理解したテクノロジストとしての側面を保っているからでしょう。実はPwCあらたは、十数年前からテクノロジー領域にも積極的な投資を続け、先進的なチャレンジを続けてきました。その成果が今、さまざまな領域で花開いているのです」

監査とテクノロジーの2軸こそがPwCあらたらしさだと、饒村氏は自信を見せる。誤解を恐れずに言ってしまうと、SIerはテクノロジーベースでシステム構築を行うことを得意とするのに対し、コンサルティングファームはフレームワークや基準を活用したコントロールベースでアプローチを行う。一方、私たちPwCあらたは経営とテクノロジー双方の視点からリスクを見極め、有限なリソースを最適に配置・コントロールする、リスクベースアプローチで支援することができる。これは、監査で培った経営とリスクアシュアランスと、テクノロジストの要素を保有するプロフェッショナルだからこそできるのだ。

新時代のルールを生み出す「ルールメーカー」としての顔

昨今、労働人口の減少などにより、「売り手市場」とも称される人材獲得競争の激化が社会課題化しているのは周知の通りだ。そうした課題に対応するため、各企業は人工知能(AI)やIoT、RPA(Robotic Process Automation)、そしてその基盤となるクラウドなど、人間に代わる労働力の導入や活用に躍起になっている。しかし、当然ここにも重大なリスクが見え隠れしている。先日も某国政府が給与計算を丸ごとシステム化したものの、満足するパフォーマンスを発揮できず、膨大な額の追加投資が必要になったことが報道された。饒村氏は「導入そのものが失敗するケースもあれば、活用が失敗するケースもある。その2点をきちんと把握し、かつリスク・コントロールできる企業が今後は伸びていく」と語る。

まず、従来のシステム導入プロジェクトはQCD(Quality・Cost・Delivery)に合わせて、リスクをコントロールしてきた。だが、AIやIoT、RPA、クラウドを用いる場合には、それらに特有のリスクと必要なコントロールを検討しなければならない。現在はこうした先進的なテクノロジー導入を大企業やITスタートアップ企業らが中心となって推進しているものの、いわゆる成功事例の少なさがネックとなり、適切なリスク・コントロールが適用されず、導入失敗に陥るケースも多い。

次に、うまく活用できないケースについては、ビジネスガバナンス、データガバナンスそれぞれが問題になる。AIやIoT、RPA、そしてその基盤になり得るクラウドの連携が機能せず、有効なハンドリングができないため、破綻の道を歩んでしまうという。

「導入すること自体は、実はさしてハードルが高くないことも、活用の失敗が多くなる理由の一つになっているという側面はあるでしょう。デジタルに人間が振り回されてしまう光景を、私自身何度も目にしてきました。戦略や計画に基づき、行動し、効果の測定、見直し、改善を繰り返すことで経営は成り立ちますが、このPDCAサイクルを一度や二度回すだけで終わってしまうことも珍しくない。さらに言えば、デジタルトランスフォーメーションとそのためのクラウド活用は一見しただけでは費用対効果が見えづらいものです。コスト削減のためだけにクラウド導入を推進すれば、イノベーションの効果が見えにくくなり、リスク・コントロールもおろそかになってしまう問題が顕在化する。こうしたバランスをどうとっていくか。これは私たちが得意としている部分です」

経営によるガバナンスが発揮されなければ、どんなに優れた要素技術があっても、それを適切に使いこなせず、台無しにしてしまうだけだ。内部統制を含めて、デジタル時代に順応したビジネスモデルを構築することが重要だと饒村氏は説く。「データガバナンスという点でも同様です。AIにIoT、FinTechなどもそうですが、膨大なデータは、断片化されたままではなく、つなげて分析・活用することで初めて本当の価値が生まれる。これを実現するために、どうやってデータガバナンスを効かせていくのか、ここに対する適切なアドバイスを行うための知見と専門性が、監査法人とテクノロジスト、両方の顔を持つ私たちの最大の武器とも言えるでしょう」

デジタルが世の中を制御する、という可能性が色濃くなった今、どうデジタル化という荒波を乗りこなすか、新時代のルールにどう適応していくかが生き残るために不可欠だ。PwCあらたの本質は、こうしたルールを漏れなく、適切に守れるよう伴走するだけにとどまらず、自ら新たなルールを策定し、仕組み化する側に回れる点かもしれない。

「私たちは民間企業だけでなく、行政などとも連携し、次の時代のルールをつくる際のアドバイザーとしても活動を行っています。ビジネスの実態に即したルールのあり方を模索し、提言し、日本という国が世界に比肩する実力を失うことなく戦い続けるための、いわば『ルールメーカー』として存在感を発揮しているのです」

昨今取り上げられている働き方改革においても「新しいルールが生まれる必要がある」と饒村氏は続ける。「デジタルの活用は、コンシューマ向けビジネスにおいて急激に浸透しています。シェアリングエコノミーなどはその最たる例でしょう。そしてここから加速するのは、デジタライゼーションの基盤としての、より大規模なクラウド活用でしょう。ビジネスがボーダーレスに進むことで、働き方のマインドだけでなく、文化そのものが変わります。そこで大切なのは、ルールと基準を大きく変える必要があるということです。リモートワークはますます普及するでしょうし、1人のビジネスパーソンが持つスキルは多様性に満ちたものになるよう、パラレルキャリアやマルチワーカーも増えるでしょう」

2016年にPwCあらたは、次世代の監査業務の在り方を追究するため、AI監査研究所を設置している。それから約2年、データガバナンスの中心はAIにシフトしつつあるという。こうした激変する世界のなかで必要なのは、「人にしかできない仕事・役割に挑戦すること」だと饒村氏は考察する。

「私も以前は、組織のミッションや枠の中で働くという感覚でした。ですが、今は創造性を豊かに持って働くことが重要だと感じています。組織の枠を出て、さまざまなキーマンにつながりを広げていく人材であることこそが大切だと思っています。PwCあらたは、そうした時代のうねりの中心にある組織です。ここでのキャリアは、来る未来の働き方に直結すると感じています」

企業がゲーム・チェンジへと挑むなかで必要なのは、イノベーションを起こすアイデアと行動力、そして、ガバナンスとマネジメントに必要なリスク管理。PwCあらたはガバナンスの領域でゲーム・チェンジを起こそうとしている。

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