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ビジネスモデルの未来

ボタン一つで多言語翻訳を実現。世界中の言語の壁を取り払う日本発サービス

株式会社ミニマル・テクノロジーズ

ECサイトの世界展開を阻んできた言語の壁

今、世界には10億以上のWebサイトがあると言われている。そのうち日本語のサイトが占める割合はわずか5%ほど。そう聞くと〝ネットの世界は英語がデファクトスタンダードだから〟と思う人も多いだろう。だが実は、英語のサイトだけに絞ってみても、世界全体の30%にすぎない。次に多いのは中国語で20%。世界のWebサイトの半分以上は、それ以外の言語が占めている。インターネットは、想像以上に多言語の世界なのだ。

とりわけEC(電子商取引)サイトでは、母国語のサイトが圧倒的に読まれ、使われている。そのためグローバルにビジネスを展開するうえで、Webサイトの多言語化、ローカライズは避けられない。とりわけ国内市場が縮小するなか、世界に市場を求め、インバウンド需要に期待する日本企業にとって、Webサイトの多言語化は急務ともいえる。

「ただWebサイトの多言語化はまだまだ進んでいないのが現状です。それはこれまで、多言語化にコストや時間があまりにもかかったからです」

そう語るのは株式会社ミニマル・テクノロジーズの林鷹治代表取締役だ。これまで、Webサイトを多言語化するには、HTMLファイルを言語別に制作する必要があった。翻訳作業だけでなく、エンジニアやWebデザイナーによる作業が必要となる。また記事の更新があればその都度、エンジニアやWebデザイナーの手を借りて、それぞれのサイトを修正する必要があった。

「日本から海外に展開にする際には日本語サイトとは別に、新たなサイトをもう一つ制作する、くらいの時間や労力をかける必要があったわけです。ECサイトを外国語向けに再制作しようとすると、翻訳や制作を合算して『料金が数千万円、期間は半年』という見積もりもざらにありました。さらに、サイト開設後の運用コストも高く、よほどの資本がある企業でなければ、多言語化は現実的には難しかったのです」

その状況を変えたのが、ミニマル・テクノロジーズが提供する「WOVN.io」だ。

最短5分で多言語サイトを自動作成

WOVN.ioは既存のサイトに簡単に後付けすることが可能で、Javascriptコードを追加するか、サーバーにWOVNライブラリを配置するだけで、仮想的に多言語HTMLページを自動生成。エンジニアやWebデザイナーの手を借りずに、誰でも簡単にサイトを多言語化できる画期的なクラウドサービスだ。無料のお試しプランから、コーポレートサイトなどに適した月額5,000円のプラン、さらにメディアやEC事業者向けのプランが用意されており、Web制作会社向けのツールとしての提供もしている。

「使い方はいたって簡単です。Webサイトに特定のJavascriptを貼り付けるか、サーバーにライブラリを追加します。次に管理画面に多言語化したいURLを登録すると、HTMLを解析してテキストを抽出し、機械翻訳の結果を表示してくれます。機械翻訳なのである程度の修正は必要ですが、一度修正すればその単語は機械学習で覚えてくれるので、次から修正は不要です。テキスト量の少ないページなら数分でサイトの多言語化が可能です。またボタンをワンクリックするだけで、プロの翻訳家による翻訳の見積もりが表示され、そのまま翻訳を発注することも可能です」

現在、サイトの翻訳サービスはいくつかあるが、WOVN.ioが画期的なのは、同じURLでもページ閲覧者の属性や時間によって表示内容が変わる、動的サイトにも対応していることだ。

「その人に合った商品をレコメンドする機能や決済機能、AjaxやJavascriptなどで生成されるコンテンツを含むサイトですね。WOVN.ioはWebサイトを常に監視していて、大本の日本語ページに更新があると、速やかにクラウドに変更が保存され、他の言語のサイトにも反映します。ECサイトの運営者がキャンペーンなどで商品の説明を変更したりすると、自動的に他の言語のサイトも修正されます」

現在WOVN.ioが対応しているのは30言語。英語、中国語が圧倒的に多く、それ以外では今のところスペイン語、フランス語、韓国語、タイ語、インドネシア語などの需要がある。ユニークなのはWOVN.ioは元々、ビジネス用として開発されたものではないということだ。エンジニアだった林氏の、純粋に技術的な興味から生まれたものだという。

「OptimizelyというA/Bテストのためのツールがあります。スクリプト1行をサイトに貼り付けるだけで、サイトを見る人ごとに表示されるサイトのボタンの色などを変え、2パターンのうち、どちらが多くクリックされるかを調べたりできるサービスです。後からスクリプトを加えてまったく新しい機能を追加する発想が面白くて、週末に趣味的に自分でも似たようなツールをつくっていたんです。そのうち、この技術でデザインが変えられるなら、言語も変えられるんじゃないか、と思うようになったんです」

その後、林氏は試行錯誤を重ね、WOVN.ioのベースとなる技術を確立。2014年にミニマル・テクノロジーズを設立し、サービスを開始した。

「ガラパゴス」の日本発サービスで世界中の言語の壁をなくす

現在WOVN.ioを利用している企業は10,000社以上。なかには東急電鉄、H.I.S.、ユナイテッド・アローズなどの大手企業もある。旅行会社やホテル、飲食店や越境ECなどのサイトが多く、今後はそのような多言語ECサイトを支援するためのサービスを拡充していくという。

「まずは配信メールの多言語化などUXの改善、また言語ごとの分析ツール提供といったマーケティング支援にも取り組みたいですね。またサイトが多言語化されれば、当然決済もドル建てや元建てなど多通貨でできる必要があります。さらに多言語でのカスタマーサポートや、グローバルでの配送のしくみを提供する必要もあるでしょう。いずれは地球上のどこでも、世界に向けてネットを使ったビジネスができるようなプラットフォームにしていきたいですね」

最近では、アメリカなど海外の企業からの問い合わせも増えているという。WOVN.ioが今後、多言語ECプラットフォームとして普及していけば、誰もが言葉を気にせず、世界中のサービスを当たり前に利用できるようになる。まさに国境と言葉の壁のない世界が実現するのだ。

このように世界に大きなインパクトをもたらす可能性を秘めたWOVN.ioだが、現在、開発に携わっているエンジニアは10人ほど。国籍はアメリカ、ベトナム、フランス、中国、インドと実にグローバルだ。

「我々のミッションは、どこの国にいてもユーザーがグローバルなサービスを利用できるようにすること。そのため開発チームも、グローバルなものにしたかったんです。UIや、新たな機能を考えるときも、さまざまな国籍の社員の発想や意見がとても役に立ちます」

そう語るのは、共同創業者のジェフ・サンドフォード氏。エンジニアでありながら、言語を学ぶことが大好きで、日本で英会話の講師をしていたこともあるという人物だ。
 
「グローバルな環境で働きたい。グローバルなサービスの開発に携わりたい。そう考えている人には、うちは最適な環境だと思います。小さな会社でまだ始まったばかりのサービスなので、自分のアイデアや技術を生かせるチャンスもたくさんあります」と、サンドフォード氏は同社での働きがいを語る。

2020年に向けて、今後世界から日本への注目はますます高まっていくだろう。それまでに、WOVN.ioが日本発のグローバルECプラットフォームとしてどこまで普及、発展しているのか。今後が非常に楽しみだ。

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