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ビジネスモデルの未来

Ed-Techベンチャー化して経営教育のあり方を変えるグロービス

株式会社グロービス

次の10年に向けた、新しいMBAの形とは

教育サービスは次世代を支えるサービスであり、人に、企業に、社会に貢献できる仕事だ。リーダーを育成するビジネススクールを展開するグロービスは、ヒト・カネ・チエの生態系を創り、社会の創造と変革を担う事業を展開している。

2006年に開学したグロービス経営大学院は、10周年となる2016年に769名の入学生を迎えた。グロービス・コーポレート・エデュケーション部門には、法人顧客として大手・中堅、ベンチャー企業1,200社が名を連ね、各社のリーダー育成を支援する。またグループ企業のグロービス・キャピタル・パートナーズはベンチャー企業に投資し、ワークスアプリケーションズやライフネット生命、メルカリ、スマートニュースなど、これまでに多くのベンチャー企業を成長、あるいはIPO(株式公開)へと導いてきた。

そのグロービスが2015年12月、「『次の10年に向けた新しいMBA』への進化を加速させる」という内容のリリースを発表した。その中で重要なキーワードとして挙げられているのが「テクノベート」だ。テクノベートとはテクノロジーとイノベーションを組み合わせた造語。ビジネスモデルや組織そのものを変革しうる力を持ったインターネットやIoT、AI(人工知能)といったテクノロジーを、より適切に経営に組み入れることができる人材育成プログラムこそ「テクノベートMBA®」プログラムだ。

その背景にあるのは、ベンチャーキャピタルの代表パートナーとして先端のベンチャー企業に投資して、毎年ダボス会議(世界経済フォーラム)に参加するなど、ベンチャーや世界の潮流をキャッチしているグロービスの堀義人代表の決断があったという。

「世界のイノベーションの動向を見れば、テクノロジードリブン(技術駆動型)経営への移行は避けがたく、テクノロジーを理解して経営に活かせる人材が必要不可欠となることは目に見えています。だからこそ、我々グロービスはテクノベートMBA®をいち早く立ち上げ、新しい時代を創り出せる人材を輩出することを目指しています。」とグロービス・デジタル・プラットフォーム部門の井上陽介マネジング・ディレクターは語る。

グロービス自身もEd-Techベンチャー化

「テクノベート」人材の育成を目指すグロービス自身も、テクノロジーを駆使して教育の形そのものを変えていこうとしている。

「MBAだけではなく、年間1,200社のリーダー育成のプログラムをご提供する中で、企業内研修の在り方も変わっていくべきだと考えています。従来の多くの研修は課長向け・部長向けといった階層別で編成されていましたが、受講者一人一人の経験やバックグラウンド、レベル感は異なります。『課長』『部長』と一括りにした研修では、どこかのレベル感に合わせざるを得ず、一部の受講者にとっては不満が潜在的に存在しています。しかし、これからは、テクノロジーの進化により、一人一人に最適な学び、レベルに応じた学びを提案するアダプティブラーニングの時代になっていきます。アドバイスも個人毎に行うなど個別化が進むでしょう。人とのディスカッションを通じた学びがなくなるわけではありませんが、最適なグループメンバーの組み合わせや、より議論を深めるための事前準備の個別提供など、工夫の余地はいくらでもあります。これらの展開を考えた時、キーになるのは学習者がどのように学び、どのように成長をしたのかというデータです。だからこそ、私たち自身もテクノロジーを駆使し、データに基づき、サービスをスピーディーに進化させていく、Ed-Techベンチャー化していこうと考えているのです。」と井上陽介氏は語る。

MBA生だけではなく法人顧客のニーズに応えていくためにも、創業20年を超え「再ベンチャー化していく」ということが社内のキーワードだ。

ラーニングプラットフォームを構築し、顧客に新たな付加価値を提供

4月に新設された部門で新たな教育プラットフォーム構築というミッションを託された井上友幸デジタル・プラットフォーム・デザインリーダーは言う。

「これまでリアルのクラスや企業の集合研修では、教材は紙、講義は教室で集合学習、レポート課題は当日に紙で提出し、学びの振り返りはメール、といった形式で実施される例が多かった。そこには、様々な学習機会を提供しながらも、データ化ができていないもの、データ化をしていても、分析可能な形で蓄積できていないという課題がありました。eラーニングやアセスメントテストなどこれまでの蓄積データがあるものも、時代の変化とともに、より詳細な学習履歴を取得することが可能になっています。今は特定の場所に集合しなくても遠隔でディスカッションが可能な環境も整いました。更には、ウェアラブルデバイスや画像認識などの技術進化は、実際の学習行動のデータ化を可能にしています。データを蓄積、分析し、学習者へフィードバックすることでより適切な学習機会を提供する、これを可能にするプラットフォームを整えていきます。一人ひとりの知識学習の効率化・習慣化はもちろん、集合学習の価値も更に高められると考えています。今後は学習領域だけでなく、人事情報など、実務で活躍している情報と組み合わせることで、より成果につながる学びや経験の分析もできるようになるでしょう。世の中には優れた様々なシステムがあるので、全て自前で開発する必要もありません。HR領域のIT活用も進んでいるので、様々な企業とも連携しながら全体像を描いていきたいと考えています。まさに『テクノベート』な視点でグロービスの再ベンチャー化を推進していきます。」

テクノロジーと経営学を掛け合わせて、より高度な経営力の育成を図る。こうした方針転換を果たしつつも、グロービスが目指す教育の根本は変わらない。そして、学ぶことの重要性を最も認識しているグロービスでは、社内での学習支援も充実させているという。

「経営学を学ぶ機会が無かった社員にはグロービス経営大学院受講の学資支援をするといった奨励策を用意しています。また、社内全体でベンチャーキャピタルやAI、クラウドサービスなどの勉強会が毎週のように開催されています。私たち自身がテクノベートの重要性を発信し続ける企業にならなければ、という意識もあります。技術や時代の変化に対応するためには、学び続けることが重要です。自分のあるべき姿と現状、そして今後のあらゆる変化を念頭に置いて、学びのサイクルを回し続けて成長する。新たな変化を自らの武器に変えられる力を身に付けることが大事だと、グロービスの社員自らが実感できる組織でありたいですね。」

「経営学×IT」、「社会人教育×IT」という軸で新しい時代のサービスを創り出す。そういったキャリアに魅力を感じる方々にとっては、刺激的な環境であることは間違いない。

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