探そう、まだ見ぬ未来を。

ビジネスモデルの未来

あらゆる産業構造をトランスフォーメーションし、日本復活の旗印を立てる

株式会社チェンジ 福留大士

新しいテクノロジーを活用し、日本企業の業務オペレーションやビジネスモデルを変革するサービスを提供することにより、強い日本経済を取り戻す。そのためには従来の日本企業の強みであった業務オペレーションを分散型ソフトウェアの力を使って書き換え、全産業のソフトウェア化と部品化を行うことが必要である……株式会社チェンジが掲げる「インダストリーソフトウエア・トランスフォーメーション」には、こんな熱い思いが込められている。あまりのスケールの大きさに果たして本当に実現可能なのかと疑問を抱いてしまいそうだが、代表取締役と執行役員社長を兼任する福留大士氏は、真剣そのものだ。では、具体的にどんなビジネスを展開し、これから迫り来る未来のIT社会にどう対応していくつもりなのか、そのストラテジーについて話を伺った。

社会課題の解決のために、人と技術の両面からアプローチ

――チェンジは、どのようなビジネスを展開されているのですか?

われわれがミッションに掲げているのは、“Change People, Change Business, Change Japan”。日本が抱えているさまざまな社会課題を解決することを目的としています。そのアプローチ方法は大きく分けて二つあります。一つは「人」が変わること。もう一つはIT技術の活用の仕方で「仕事のやり方やビジネスモデル」を変えていくこと。人と技術の両面で社会課題を解決することが主な事業内容です。

―― 一つ目の「人」を変えるとは、具体的にどんなことを指しているのですか?

弊社は設立当初、さまざまな事業再生を請け負っていました。そうしたなかで感じたのが、良い企業には優秀な人材が集まっているし、衰退する企業にはイマイチな人材しかいないという原理原則です。ビジネスモデルや製品力、技術力などとは別に、結局は「人」の問題に行き着いてしまった。「それなら『人』のパフォーマンスを上げるにはどうしたらいいか真剣に考えよう」ということで、人材育成のビジネスに取り組み始めました。

――現在はテクノロジー領域に軸足を置いていますが、そこに踏み込むきっかけは何だったのですか?

当然ですが、人の行動や価値観を変えるには、すごく労力がかかるんです。いろいろな要因やきっかけを必要とします。でも、ふと周りを見渡せば、多くの人が好むと好まざるとにかかわらず、スマートフォンを持ってずっといじっている光景を目にしますよね。ほんの十年前までは、電車内で新聞を広げたり、雑誌を読んだり、中づり広告を眺める人が大半だったのに、今ではほとんどの人がスマートフォンの操作に没頭している。スマートフォンが登場したことで私たちの生活が劇的に変化した。つまり、ライフスタイルやワークスタイルは技術やツールによって一気に変わるわけです。

最近ではIoTや人工知能による「第四次産業革命」の到来がしきりに叫ばれていますが、テクノロジーが仕事の根本的な部分を変える時代がいよいよ来たなと、5年くらい前から感じるようになったのがきっかけで、テクノロジー領域に本腰を入れて取り組むようになりました。古くから弊社のことを知っている方などからは、いまだにチェンジを人材教育の会社だと思われている場合もあります。テクノロジーに関しては、まだまだ認知度の低い、後発の会社です。

あくまで課題ありき。トランスフォーメーションする業界や領域は絞らない

――そうした経緯のなかで御社が掲げる「インダストリーソフトウエア・トランスフォーメーション」という考えへたどり着くことになったと思うのですが、具体的な事例を教えていただけますか?

日本とアメリカ、双方のAppleのホームページに掲載された動画の事例ですが、ここで紹介されている東京メトロさんのトンネル検査をサポートするアプリは、弊社で製作したものなんです。モバイルを使って現場状況の検査を行うためのアプリケーションであり、モバイルにより収集したデータを解析し、どのように修繕するかの判断に生かされています。この事例ではモビリティのテクノロジーを軸に、iBeaconをはじめとする技術要素を組み合わせています。直感的な操作性、必要な情報収集と、的確なフィードバックといった機能が集約されたアプリケーションであり、IoT、AI、ビッグデータといったキーワードにつながっていくものです。

――かなり幅広い技術が組み合わされていますが、主だって注力している技術はあるのですか?

弊社はIoTとか、アナリティクスとか、モビリティとか、対応する技術領域についての定義づけや制限は設けないようにしています。課題解決に必要な技術は何でも挑戦しましょうというスタンスでやっています。メインターゲットとしている業種や領域も定めていません。先ほどは東京メトロさんとのお仕事を説明しましたが、同じようなことを金融業界や官公庁でもやっています。生意気に聞こえるかもしれませんが、それぞれのインダストリーで変革のテーマを設けてやらせていただいています。

――扱う業界や領域が広いと、取り入れなければならない新しい技術もその分だけ増えてしまうと思うのですが、非効率ではないのでしょうか?

チェンジのスタンスは、あくまで課題ありきなんです。「こういうふうに社会を変えたい」とか「こういうふうにお客様のビジネスモデルを変革しなければならない」という問題意識から出発するので、特定の技術領域に没頭するというよりは、必要な技術は何でも手を出すということを心がけています。

新しい技術やツールは、どこよりも早く試してみる

――これからのコーポレートアイデンティティーについては、どのようにお考えですか?

企業が何か新しい事業や取り組みを始めようとするとき、最近では「イノベーション部門」などと呼ばれる新規事業部署が立ち上がるかと思いますが、「じゃあまずチェンジに相談しよう」と想起してもらえるポジショニングをとりたいと考えています。

データ解析をしないと企業経営ができないとか、AIやロボットをはじめとする新しいテクノロジーを経営にどうやって生かそうかとか、先進的な企業はすでにこういったことを考え始めています。そういう新しい試みをチェンジ流に支援して、新しいマーケットを作っていきたい。今はまだまだ小さいマーケットですけれど、これが10年、20年たつと、現在の情報サービス産業と同じ14兆円くらいの規模になっているはずなので、そこではリーダーでいたいなと思っています。

――すると、ビジネスの種まきの部分にどうやって携わっていくか、つまり先行投資が重要になってきますよね?

はい、2010年くらいから新しいテクノロジーやツールが誕生したら、どこよりも早くそのマーケットに参入してビジネスを立ち上げてきた自負があります。たとえば、TwitterやFacebookが日本に上陸したときには、企業向けにソーシャルメディアの導入支援を最初に手がけました。先頭を走って最初に道をつけておくと、もしも、その後にいろんな会社が続いてきたら、そこに市場ができて、マーケットを確実にリードできるからです。

――ある意味、先見の明が必要とされるわけですが、第四次産業革命による変革が続くといわれる2020年までの期間で、すでに目をつけているビジネスはあるのですか?

ありとあらゆるものの自動化、省力化に関する技術ですね。2025年くらいから団塊世代が後期高齢者になり、日本は超多死社会に突入します。今以上に人口減少が加速するわけです。これまでの経済成長は人口の増加によって支えられるものと考えられてきましたが、既に曲がり角に来ています。

ただ、そのころになれば、ロボットや人工知能をはじめとした技術により、経済成長と人口が関係なくなる社会が実現できていると思います。そうなると「御社はロボット何台ありますか? どれくらいのレベルのロボットなんですか?」というビジネストークが一般的になり、ロボットの量と質を競う時代になるのではないでしょうか。果たして本当にそんな未来が10年後に来るのか、20年後に来るのかは正確にはわかりませんが、弊社としてはそこにきっちり合わせていきたいと思っています。

まだまだ日本は世界のマーケットをとれる

――そうなってくると、未来社会の課題に応じて、チェンジが行うことも変わり、3年後、5年後に何をやっているのか想像がつかないですね。

3年後、5年後くらいまでは今やっている事業を完成させているだろなあと想像できるんですが、5年後に研究開発しているテーマが何になっているかというと、そこはわからないですね。

――願望として、こういうことをやっていたいということはありますか?

テクノロジーはユースケースがすごく重要だと思っていて、用途開発とか企画こそがクリエーティブな世界だと思うんです。たとえば、モバイル一つとっても、iPhoneを使って劇的に生産性を上げる会社と電話としてしか使わない会社を比較すれば、企業の力の差は歴然ですよね。せっかくあるテクノロジーを生かすのが得意ではない会社に「こうやって使うと生産性が劇的に上がりますよ、御社のオペレーションは劇的に変わりますよ、ビジネスモデルをこういうふうに変えていきましょう」と支援し続けたい。

――日本は、技術力はあるのにクリエーティビティを発揮して、新しい使い方を創り出すのが下手ですよね。

まさにそこは変えたいところで、弊社は2020年くらいに世界市場に本格的に展開したいと思っているんです。日本は0から1を生み出すのは得意ではないけれど、1を改良して100にするのは得意。もともといろいろな技術や素材を輸入して、それを加工して輸出するというビジネスをやってきたわけですから、本来アプリケーションに強いはずなんです。アメリカで生まれたコア技術をちゃんと深掘りして、応用分野を定めて用途をとがらせる。それがちゃんとできれば、まだまだ世界に通用するはずです。

――どうして現状はできなくなってしまっているのでしょうか?

ビジョンが足りないというか、意思決定ができないんですよね。大企業も既存事業で中途半端にもうかっているので、危機感がない。たとえば、GEは金融から撤退して、今はちゃんとIoTに注力していますよね。日本はそういうふうにビジネスモデルを転換すると決断して、そこにリソースを一気にシフトするみたいなことがすごく苦手な国。だから、大胆な意思決定は期待していません。その代わり、人類史上、誰もできなかったようなレベルで「改善を積み重ねるぞ!」という方向で考えています。改善もあり得ないレベルで積み重ねているうちに、革新に変わると。

意思決定できないのは経営の話なので、とにかく現場力を高める。そのためには、現場の優秀な人間を集めて、その人たちの志をうまく花開かせるのが重要だと考えています。

――そうしたビジョンに向けて、御社ではどんなことを実践しているのですか?

弊社では、私の意思で社員に同じ方向を向かせて同じことをやらせるということはありません。個々人が興味のある社会課題を解決するようにリードしています。技術を持っている人はテクノロジーで解決すればいいし、持っていない人は外部から取り入れてもいいと。そうして現場の強さを花開かせれば、世界市場をとりにいけると思っています。

5年後、10年後にすごく面白い人材がたくさん集まって、才能を発揮し、社員おのおのが伸び伸び、そしてイキイキと仕事をして、自分の興味のある分野で結果を残してくれれば最高ですね。

■プロフィール
株式会社チェンジ
http://www.change-jp.com/
代表取締役 兼 執行役員社長 福留大士

1998年にアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)へ入社。2003年に株式会社チェンジを設立した創業メンバー。情報通信や電力といったインフラから中央省庁、病院、公団と、幅広い分野でビジネス戦略/経営計画の立案を担当し、豊富なプロジェクト経験を持つ。現在は、金融業界の新しいERPプラットフォームの共通部品化およびアーキテクチャー構築、モバイルやIoTデバイスによるエンタープライズトランスフォーメーションプロジェクトを手がける。

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