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精度の高い計画立案とシミュレーションが競争力向上のカギ。注目のユニコーン企業が、日本企業の戦略的な意思決定を支援

Anaplan Japan

ユニコーン企業。幻の動物ユニコーンのごとく「めったにお目にかかれない」ことから、希少性の高い企業の代名詞として日本でも一般的に使われ始めている用語。主に未上場のスタートアップで、その評価額が10億ドル(約1,100億円)を超える企業を指す。そんなユニコーン企業の1社がAnaplanだ。米国サンフランシスコに本社を構え、2017年12月に実施したシリーズFラウンドにおいては、6,000万ドルを調達し、総評価額を14億ドルとした。

創業から10年余りで、市場から高い評価を得ている秘密はどこにあるのか。日本における事業展開はどのように考えているのか。今回、Anaplanジャパンでカントリーマネージャを務める中田淳氏、そしてカスタマーサクセスビジネスパートナーである真島恵太氏に話を聞いた。

計画・シミュレーション業務が意思決定の足かせに

(画像は、カントリーマネージャ中田淳氏)

Anaplanが提供しているのは、クラウドベースの計画・シミュレーション支援ソリューションだ。彼らはそのコンセプトを「コネクテッドプラニング(Connected Planning)」と表現する。「企業のIT環境はこの30年で劇的に変化しました。ERPやSCMといったいわゆる基幹業務のIT化が進むことで、データが一元管理できるようになったのです。ところが企業活動の実績データはあらゆるシステムに保管されているのに、いざ計画を立てようとすると、ほとんどの企業は表計算ソフトとメールでのコミュニケーションに頼っている実情があります。この分断されたプロセスをつなげるのがAnaplanです」と中田氏は語る。

IT化が進んでいるのに計画プロセスは分断されている、これは一体どういうことだろうか。中田氏は次のように説明する。「財務やサプライチェーンといった、それぞれの業務を実行することに特化したソリューションは数多く存在します。しかしながら、あらゆる事業で必ず行われる計画立案に主眼をおいた仕組みは今までありませんでした」

想像してみてほしい。計画を立案しようとすると、まずは実績が格納されているシステムからデータをダウンロードし、表計算ソフトで指定のフォーマットに落とし込む。次にその表計算ファイルをメールに添付して各担当者に配布する。各担当者は計画の見込み値を入力し、またファイルをメールで戻す。拠点がいくつにもまたがる場合や、階層構造になっている組織ではこの一連のプロセスが何度も繰り返されるのだ。全てのファイルが戻ってきたら、計画担当者は集計を行い事業計画として経営会議にかけるのである。

大企業であればここまでで数カ月を要することも珍しくない。つまり、計画立案に使われる実績データは数カ月前の数値ということだ。さらに、せっかく作った計画が一度で承認されるとは限らない。「この数値を10%変動させたらどうなるのか」「この販売エリアで入力された計画値の根拠はなんなのか」といった要望や指摘が入り、計画は「もまれて」いく。すると計画担当者はその場で出た声を宿題として持ち帰り、次回の経営会議までに再度集計し直すのである。

「急激なスピードで変化する市場や顧客のニーズに応えるためには、精緻な計画値とそれを基にした迅速な意思決定が不可欠です。今までの計画立案のやり方では企業活動の足かせになってしまっています。これでは企業の競争力を強化するどころか、保つことすらできません」

「経営層が見たい切り口」と、「ユーザーの使い勝手」の二兎(にと)を追う

(画像は、カスタマーサクセスビジネスパートナー真島恵太氏)

では、従来の手作業での計画立案とAnaplanを活用した場合は何が違うのか。「各担当者が計画値をクラウド上に入力していくことでリアルタイムに結果が集計されていきます。また、『意思入れ』として、ある数値やパーセンテージの変更を行い、異なるシミュレーション結果を比較検討することも容易にできるようになります。これは表計算ソフトを使った計画立案では非常に困難でした。経営層はクラウド上で都度更新される数値を確認しながら、適切な意思決定を下すことができるのです」

日本でAnaplanの導入支援を主な業務とする真島氏は、Anaplanが選ばれる理由について次のように述べる。「IT部門に頼らずに導入、運用できるという点を高く評価いただくことが多いです。業務部門の担当者がITの高度な知識、例えばプログラミング言語などを知らなくても、データの入出力イメージをデザインすることが可能です。するとAnaplanが自動的に多次元データベースを構築します。計算処理が早くても運用に時間がかかる、仕様変更までにIT部門と調整しながら何カ月も待たされる、という仕組みでは本末転倒になってしまいます」

経営層が見たいデータを迅速に集計するだけではなく、ユーザー視点で開発されたソリューションである点も、Anaplanが高い市場評価を得ている要因のようだ。

生産性が向上され、戦略的な組織に生まれ変わる

真島氏によるとAnaplanの導入により、業務の生産性向上も実現可能だという。「たとえば、ある大手メーカーでは、それまで販売計画立案にかかっていた時間を、Anaplan導入により月平均97%も削減することに成功しました。数字を集める、資料を作るといったことが目的化してしまっていて、その先の分析や改善提案にまで手が回っていなかったのです。こういった状況をAnaplanの導入により逆転させることができました。オペレーションからイノベーションに取り組む戦略的な組織へと生まれ変わることが可能になったというわけです」

このエピソードに続いて、中田氏も自社カンファレンスイベントでAnaplanを導入したある企業のCFOが登壇した際のコメントを紹介してくれた。そのCFOは「私の評価が会社内で急上昇している」と話したのだという。

「これまでは代表から『あのプロジェクトの進捗(しんちょく)はどうなっている?』と聞かれても、数日時間をとってからレポートするのが当然だった。しかし、Anaplanを導入した今は、画面上で操作をすればその場で見たい数字が閲覧でき、変更した数値が事業に与える影響も一目瞭然となった、というのです」と笑顔を隠さない。

「今後は日本市場での規模拡大を見越して人員も増強していきます。ますますボーダーレスになるビジネス環境で、日本企業が世界中で戦略的に事業を展開するお手伝いができればと考えています」。中田氏は今後の展望について上記のように述べてインタビューを締めくくった。

Anaplanジャパンは日本国内で、大手企業を中心に急激に顧客数を伸ばしている。単なるITソリューションの提供のみならず、真の目的である企業の競争力強化を支援するビジネスパートナーとしての事業展開に、今後も期待したい。

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