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ビジネスモデルの未来

人工知能(AI)が導く、コールセンターの新しい未来

Afiniti Japan株式会社

今、世界中の大企業から「Afiniti」という米国発AIベンチャーに熱視線が注がれている。2006年に創立されたこのITベンチャーは、大規模コールセンターに特化した独自のサービスを展開しており、「期待感をあおりつつも実績が不透明」というわなに陥りがちなAIサービスと一線を画し、「短期間で、確実に効果を出すAI」として大きな注目を集めている。近日中に米国での大規模上場も見据えているとされ、近年話題にのぼる「ユニコーン企業」の1つになるではとの期待も大きい。

Afinitiは世界22カ国に拠点を構えており、2017年に入り日本に23カ国目となる拠点を設立。日本市場の開拓をいよいよ本格化させている。同社が手がけるAIは、大規模コールセンターというニッチ市場にあえて特化という、他にはない特徴を持つが、その誕生の契機は何だったのか。Afiniti のカントリーマネージャーを務める川名麻耶氏、マネージングディレクターを務める星野菜保子氏に話を聞いた。

顧客と相性の良いオペレーターを、人工知能が見いだす

「Afinitiは主に大規模なコールセンターを擁する大手企業向けにソリューションを提供しています。具体的には、AIが、顧客ごとに相性が良いオペレーターを瞬時に判別し割り当てることで、新規契約・解約阻止・アップセルやクロスセルの成功率を高め、収益改善を行います。また、話しやすい相手とのスムーズな会話を提供することで、顧客・従業員双方の満足度を高めることができます。」

従来、コールセンターに電話すると、顧客は空いているオペレーターに先着順に割り振られる。一般的にオペレーターにはトークスクリプトが用意されているが、売り上げや顧客満足度、対応時間には大きな開きが存在する。これはオペレーター個人のスキルの差だけではなく、人と人の相性による面もあるのだとか。

「AfinitiのAIは、着電したタイミングで、その電話番号にひもづく顧客情報を分析。同時に、過去のコールログや事前アンケートの回答などで得られたオペレーターの情報を分析して、最適なペアリングを提案します。オペレーター全員のパフォーマンスを改善することで、スキルの高いオペレーターだけにコールを集中させた時よりも、大きな成果をあげることが可能です。」

ペアリングするといっても年齢や性別といった基本的な情報だけを参考にするのではない。社内外のデータベースから、膨大な数の因子を分析することで、直感的に理解できるものだけでなく、人間が思いつかないような非直感的な組み合わせも考慮されているという。

AIの利用は、膨大なデータ量を収集・分析することによる高精度なアルゴリズムの創出だけでなく、PDCAサイクルを日々高速で回し続けることによるアルゴリズムの継続的な進化も可能にしている。こうしたペアリングによる収益性の拡大においては、Afinitiの公式サイトにも掲載されているが、いずれも驚くべき実績を上げている。

「世界的な通信キャリアであるT-Mobile様に導入いただいた際には、既存顧客のリテンションや、販売転換率・滞納料金回収率の向上によって、年間で80億円の増収を実現しました。ほかにも導入いただいた企業では平均4%から6%の売り上げ向上が見込まれています」

驚くべきはハードウエアやソフトウエアの導入コストは全額Afinitiが負担するという点だ。また、季節性やキャンペーンといった外部要因の影響を排除し、本当にAfiniti導入によって成果があがったのかを判別できるよう、システムのON/OFFを分単位の周期で切り替えられるようにしている。機器の販売や月額料金ではなく、ONの時とOFFの時の差分から導き出された「Afiniti効果」の一部をレベニューシェアするという方針を採用している点からも、同社の絶対的な自信がうかがえる。

あえてニッチな領域に進出したことで、共存のメリットが生まれる

Afinitiが大規模なコールセンターを擁する企業に対象を絞っているのは、オペレーター数が多いほどペアリングの選択肢が広がり、精度も向上できるからだという。現在は通信キャリアや金融機関、生損保、ケーブルテレビなどの顧客が多い。「電話での申し込みが主体のビジネスとの親和性が高いといえます」

一方で、Afinitiの技術は、AIとしてイメージされやすい自然言語処理の技術などとは全く違う。あくまでも顧客とコールセンターの間に入り、適切なペアリングを実現することに専念しているという。

「ビッグデータや機械学習などがバズワード化していますが、私たちは何を分析しどこにAIを活用するかという範囲を、あえて非常に狭く設定することで、精度を高め、短期間で確実な効果をあげることに成功しました。AIのなかでもニッチな領域を攻めている、といえるでしょう」

ニッチとはいえ、既に世界中に100を超えるクライアントを抱え、その成長スピードはますます加速しているという。ペアリングの改善にのみフォーカスを当てている点も、他社製品と無用なバッティングを発生させず、共存可能な余地を大きく残している、というのがAfinitiの考え方だ。

「大手IT企業などは膨大な投資を行い、複雑な自然言語処理などにも対応できるAIの開発を進めています。最適なペアリングをAfinitiが手がけ、より成果を高められる話し方や受け答えは別のAIが分析する。そうした共存のあり方は大いにあると考えています」

「独特な文化を持つ経済大国」日本の商習慣に適応できるよう、徹底的にローカライズ

Afinitiは米国発のスタートアップだが、「日本法人は、いい意味で外資系らしくありません」と川名氏は笑う。そこには国や地域ごとに商習慣が圧倒的に異なるということを、Afinitiという会社が熟知し、それぞれの文化に即した組織形成、ビジネス形成を大切にしているという背景がある。

「エンジニアリングチームの主体は米国本社にありますが、日本法人でも積極的にエンジニアは採用していく予定です。どれだけ優れたソリューションであっても、アメリカで受け入れられるものと、日本で受け入れられるものは違います。独立した意思決定の権限を持ち、開拓する企業群から導入までのスピード感、各企業に対するアプローチ方法に至るまで、日本法人としての意志を尊重してくれています」

商習慣の違いはビジネスの現場でも如実に現れる。欧米諸国の企業は利益が出るのであれば積極的に導入したがるのに対し、日本企業は、利益だけではなく、「このシステムを導入することで、お客様にはどういう影響があるのか」を重視する傾向にあるという。

「Afinitiを導入することによって生じる直接的な利益のほか、顧客・従業員満足度が上昇するという点を大切に考えられる方々も多いのが日本市場の特徴です。満足度については定量化しづらい分野なので、私たちとしてはあくまでもフィーを頂かない副次的な効果としてご案内しますが、それこそが日本独自のサービスクオリティーの高さを示す証左ではないでしょうか。海外のメンバーからはよく『不思議の国だ』と言われますが」

独特な文化を持つ日本市場だが、その開拓にかける思いは強い。小さな国土に名だたる大企業が集積する一大経済圏をどう切り開いていくか。その意思決定のスピード感は「おそらく日本企業では得難いものになります」と川名氏らは自信を見せる。

「日本ではここまで巨大なスタートアップ企業は存在しません。NASDAQ上場はいつだ、と世界中から注目を集める未上場企業、かつ拠点立ち上げのタイミングで参画できるのは大きなチャンスだと考えています。世界トップクラスの技術力を持つメンバーとのコラボレーションなど含め、刺激的な経験ができる。さらには外資系企業らしく、プロセスよりも成果を重視するが故のフレキシブルな働き方も推奨しています。個々人のパフォーマンスを最大限に発揮し、市場に大きなインパクトをもたらしたいと考えている方であれば、きっと最高の環境が広がっていると思います」

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