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バイオテクノロジーの未来

自社技術で世界的なペプチド医薬品メーカーへ

JITSUBO株式会社

新技術で高い品質と圧倒的なコスト削減を実現。2年後にペプチド後発医薬品の承認申請を目指す

生体成分であるアミノ酸の縮合体ペプチドを、人工的に合成して医薬品とし、投与するのがペプチド医薬品。ペプチド医薬品研究開発を事業の柱とするJITSUBO株式会社は、現在、2品目のペプチド後発医薬品開発を進めている。

そのうちの1品目(希少性疾患向け)は、2018年3月期の承認申請に向けて準備中だ。承認申請が認められれば、JITSUBOはペプチド医薬品メーカーとして新たなステージに立つことになる。

それを可能にするのは、JITSUBOの持つペプチド合成の基盤技術「Molecular Hiving(TM)[モレキュラー・ハイビング]」と「Peptune(TM)[ペプチューン]」だ。この2つの技術によって、既存品より優れた品質を実現する一方で、ペプチド合成時にかかるコストを約10分の1にまで引き下げ、さらにペプチドの医薬品としての機能向上を図ることに成功。これらはJITSUBOが将来の目標として掲げる新薬開発に大きな可能性を持つ技術だ。

ペプチド合成法を飛躍的に変えた新技術

ペプチド医薬品として、血糖値を低下させるインスリンは最も知られているが、現在はホルモン系、抗生物質系、免疫抑制系等多様なペプチド医薬品が開発されている。

創業メンバーのひとりである河野悠介代表取締役CEOは語る。「東京農工大学で、千葉一裕先生率いる研究チームの一員として、中分子を簡便に作るための研究を行うなか、Molecular Hiving(TM)を発見しました。2005年に大学発ベンチャーとしてJITSUBOを立ち上げた当時は、この技術を最も生かせる分野を探索するためにカギとなる物質を試薬として販売する事業を展開していました。この事業を進めていくなかでMolecular Hiving(TM)がペプチド合成において大きな進歩をもたらす可能性に気付いたのです」

事業の拡充を図り、2008年にJITSUBOはペプチド医薬品のペプチド受託合成サービスに業容を変更。積水メディカル株式会社との提携関係に入り、現在もMolecular Hiving(TM)のライセンス収入を得ている。

目指すのはペプチド新薬開発

「ペプチド医薬品は多くの人を幸せにできる」。そう確信した河野氏はペプチド医薬品メーカーを志す。その第一歩として開始したのがペプチド後発医薬品の開発だ。取り組む理由は3つある。高品質・低コストのペプチド医薬品を提供することによる社会への貢献。自社の収益基盤の構築。そして、新薬開発企業へのステップ。

患者は新薬の特許が切れた後には、低価格の後発医薬品が上市されるのを期待している。また、薬剤費の高騰に歯止めをかけるためにも後発医薬品の奨励は世界的な流れとなっている。しかし一般的な飲み薬と異なり、原薬原価率が高いペプチド医薬品は従来の後発医薬品メーカーに敬遠されがちだ。これは、後発品とはいえ開発には3~5年の時間と5億円規模の費用がかかるから。原材料の価格が高止まりでは、開発コストの回収に時間がかかるためだ。

しかし、JITSUBOなら原材料のペプチド合成部分のコストを大幅に低減できる。JITSUBOは他社が参入しにくい原価率の高い製品に特化して、ペプチド後発品を開発することで、患者への選択肢を提供しつつ、世界を市場にすることで収益性の高いビジネスを展開できると河野氏は考える。

「承認申請は直近のマイルストーン。長期計画で目指すのはペプチドの新薬開発です。まだ治療法がない疾患にペプチド医薬品がソリューションを提供するのです」と河野氏は言う。「私がいる間に実現できるかもしれないし、できなかったとしても私の後に続く人が実現するでしょう」

世界進出には「ワクワク」人材が必要

今後、事業拡大に伴い、製造や販売のパートナーが必要になる。現在は東京農工大学キャンパス内のベンチャーポートにオフィスと研究室を置き、社員12名の規模だが、既に新規採用を進めている。

「JITSUBOはまだ新しい『船』です。世界中の患者さんにペプチド医薬品というソリューションを届けられる会社に成長しようとしているタイミングです。理想の姿をイメージし、それと現在のギャップを把握した上で、その実現にチャレンジする。そこにワクワクしてくれる人。そんな『理想の実現に真摯である人』を求めています」と河野氏。

塚本晃章取締役CFO兼経営管理部長は「喫緊の採用対象は医薬品メーカーのキャリアやバイオベンチャー出身の研究開発領域人材が主ですが、自分の能力を持って貢献したいと考えている人は常に必要です。IT、財務、経理、法務などの職種でも、今後優秀な人材に活躍していただきたいと思います」と言葉を添える。50年ぶりに誕生したペプチドに関する新技術。これが近い将来、歴史に名を刻む医薬品を生み出す原点となっているかもしれない。

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