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人工知能の未来

人工知能が最高のビジネスパートナーになる日

株式会社WACUL

Webサイトについて、誰もが最適な分析・改善提案を受けられるように

「Webサイトの分析データを分かりやすく翻訳してお届けすることが、われわれの使命です」。株式会社WACUL(ワカル)の大津裕史代表取締役社長は確固たる口調で語る。

WACULが提供する「AIアナリスト」は、Google Analyticsと連携し、課題発見から改善提案まで自動でデータ分析を行う人工知能サービスだ。2015年4月にリリースし、その後、同年11月にリニューアル。「小さいチームにも成果に結び付くプロの分析機能を提供したい」という思いのもと、月額3万円から利用でき、半年ほどで約1,100サイトが登録した。利用企業は毎月100社のペースで増え続けている。

具体的な機能としては、Google Analyticsから引き出した訪問数やコンバージョン数などのデータをもとに、デバイス、流入元、入り口ページ、経由ページなどの組み合わせを全パターン洗い出し、Webサイトを分析。コンバージョンが上下する要因を抽出し、課題のパターン別に改善提案を行ってくれるというものだ。図や表によるデータ根拠の提示、「Facebookから訪問するユーザーを増やしましょう」といった親しみのある言葉を用いた改善提案、またそれによって見込める成果のシミュレーション結果報告など、具体的なアクションにつながる「理解しやすさ」を強く追求している点も特徴だ。

人的なコンサルティングではなく、すべてを人工知能に置き換える

「Google Analyticsを導入されている方のうち、約8割は、解析結果を日々チェックできていません。その理由の多くは、内容を見ても解釈ができないから。例えば、天気図の元データだけ渡されても、ほとんどの方は自分がいる場所が晴れか雨かなんて分からないですよね。きちんと知識を身につけ、見方を教わることによって初めて天気図も理解できる。それと同じなのです。Google Analyticsは膨大なデータを収集してくれる有用なツールです。私たちはそこに“理解しやすさ”を加え、よりプラクティカルなサービスの実現を目指しています」

とはいえ、WACULも設立当初から人工知能に特化したサービスを展開してきたわけではない。もともと「AIアナリスト」リリース前の事業内容は人的なWebコンサルティングが中心だった。競合他社と一線を画する「成果コミット型のコンサルティング」というビジネスモデルを採用し、目標値に達しない場合は追加料金なしで何回でも改善を繰り返すという、Web業界では類を見ない画期的なサービスで評判を集めていたのだ。

成果コミット型のコンサルティングサービスでも成果をあげていたWACULがなぜ、現在はコンピューターによる人工知能を活用する「AIアナリスト」に事業を一本化したのか。それは、大津氏いわく「人を育てるよりも、人工知能を作りあげる方がより良いと感じたから」。

「2013年ごろから、データの収集や分析といった業務をシステム化できれば、人が手掛ける業務は減るのでは、と考えるようになりました。人の力に頼ると、知識やノウハウはその人に依存しがちになってしまいますが、人工知能であればその点も心配ない。そこで、私が社内で使用していた個人ツールをもとに、『AIアナリスト』を作ろうと決めたのです。ただ、『今、人間が行っているコンサルティング業務をすべて人工知能に任せる』と社内で発表したときは、メンバーも『何を言い出したんだ、この人は』という雰囲気でしたね」と大津氏は笑う。

「AIアナリスト」が人間の分析判断よりも優れている理由

人工知能を活用することで、「網羅的な判断や膨大な情報の分析など、単純作業がより速くより正確になった」と、大津氏は断言する。さらに、先々月、先月、今月のように連続するデータに基づく判断も、膨大なデータ量になってしまう分、人間が行うより人工知能を利用した方が精緻に結果を導き出せるという。

「『AIアナリスト』は多変量なデータをまんべんなく処理できます。人間の脳はポイントを絞った判断をするには非常に優秀ですが、広範囲での判断となると途端に追いつかなくなってしまいます。複雑でカスタマイズ性の高いデータであればあるほど、人工知能を使った方が総合的な評価を得られるのです。そして、このサービス最大の強みは、Webコンサルティングという仕事を熟知している私たちが構築したという点。成果コミット型のコンサルティングという厳しさにもまれ、そこで生まれた知見やワークフローを継承するかたちでシステムにのせています。データ分析だけをなりわいにしている企業とは、ここに圧倒的な差があると考えています」

既に他社からも類似したサービスはいくつか登場しているものの、多くは収集データの出力結果をカスタマイズしたレベルにとどまっている、というのが大津氏の見解だ。「分析データを適切に分かりやすく伝える『翻訳機』としての機能を果たしているサービスは、現時点では『AIアナリスト』だけです」と、自信をのぞかせる。

マーケターの下した意思決定が必ず実現する世界を目指して

WACULは現在、日本最高峰の人工知能研究機関である東京大学松尾研究室と協働し、Web最適化の研究開発を行っている。2016年2月にリリース予定の「異常検知システム」の着想は、松尾研究室とのディスカッションから得たもの。「異常検知システム」は、突然PV数などが想定値を超えて増えた場合、その要因を自動的に収集・分析し、サイト運営者に報告するサービスだという。同年5月にはユーザーが閲覧しているデータを、ページ単位ではなく、文言やコンテンツ単位で分析・レポートする「コンテンツ評価」と呼ばれる機能もリリース予定だ。

「この時点でわれわれが『AIアナリスト』で提供したい機能は完成します。そこからはクオリティーアップとフォローアップを続ける時期です。Webマーケターの側には必ず『AIアナリスト』があり、マーケターが『やるべきだ』と意思決定したことが必ず実施され、成功される世界をつくりたいと考えています」

マーケターがデータによる根拠を示し、「これをやるべきだ」と自信を持って提言できる世界を実現する。それこそ、大津氏が思い描く未来のかたちだ。「欧米と比べて、日本はまだまだデータに関するリテラシーが低いのが現状です。だからこそ、『AIアナリスト』のようなサービスの可能性を試せる市場だと考えています。人間の仕事に勝つ。それがわれわれの目指す人工知能です」

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