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人工知能の未来

ビッグデータの分析・外部システムとの連携で、ブランドを高める

トレジャーデータ株式会社

名だたる大手企業200社が認めるCDP: Customer Data Platformの実力とは

通信技術やデータ処理など、さまざまな技術の進化、発展によって膨大な量のデータの蓄積が可能となった。それに伴い、ビジネスシーンにおけるビッグデータの活用への取り組みも複雑化、多様化の様相を呈している。そうした世相をにらみ、新たなビジネスを立ち上げるITスタートアップも数多く存在する。トレジャーデータ株式会社もそのうちの1社だ。

2011年12月にシリコンバレーで創業し、2013年5月より日本でのビジネスを本格化させた同社は、企業が扱う大量のデータをリアルタイムで収集し、保管・分析・活用するためのカスタマーデータプラットフォーム(Customer Data Platform)を提供している。同社の「TREASURE CDP」を用いれば、広告配信ログや、Webサイトやモバイルアプリの閲覧データや会員データ、GPSによる位置情報、店舗のPOSデータ、IoTによるセンサーデータなど、あらゆるデータをクラウド上で一元管理できるようになる。

また、トレジャーデータ社では顧客コミュニティー、テクノロジーパートナー、サービスパートナーなどがそれぞれ収集、分析したデータや情報、活用方法などの知見をシェアするエコシステムを展開している。「TREASURE CDP」の利用は国内で200社を突破。資生堂、スバル、キリン、ソフトバンク、JT、東京海上、無印良品、パルコなど、ユーザーもパートナーもイノベーティブなブランド名が並ぶ。そのなかでも「このようなエコシステムを形成できるようになったのは、資生堂の事例がきっかけになった」と語るのは、マーケティング担当ディレクターの堀内健后氏だ。

資生堂は、80年近い歴史を持つ会員制度「花椿CLUB」のデータを、2012年にリリースしたWebサービス「ワタシプラス」に統合した際、膨大なデータを十分に扱いきれなくなっていた。しかし、「TREASURE CDP」を用いることでデータの収集・保管・分析、そしてその先の「連携」までを容易に実現できるようになったという。

例えば「TREASURE CDP」導入による好影響としては、「ワタシプラス」内の履歴を収集・分析するだけにとどまらず、提携サイトの閲覧データなどとにも絡めることができるようになったことだ。顧客がデジタル上に残したあらゆる行動履歴を捉え直すことで、顧客とのコミュニケーションをより効果的に行えるようになったという。顧客ごとの「好み」と「現在の行動ログ」、そして「過去の行動ログ」を掛け合わせることで、One to One の最適なコミュニケーションがとれるようになったのだ。また、こうした操作を複雑な知識を必要とせず、マーケターだけで完結できるようにしたことも、大きな驚きをもって迎え入れられた。

「この資生堂の2016年4月のリリースを機に、当社のポジショニングがより明確になり、『TREASURE CDP』もマーケターから格段に注目されるツールとなったと思います」と堀内氏は語る。ほかにも話題を呼んだのは、SUBARUの事例だったという。SUBARUは複数ある自社サイトのログやディーラーでの購買データなど、顧客とのさまざまなタッチポイントにおけるデータはそれぞれの部署でしか分析できていないという課題を抱えていた。しかし、広告展開からイベント参加・販売店訪問・成約に至る行動ログを「TREASURE CDP」で活用することにより、マーケティングの戦略から施策までを統合管理できるようになったのだ。

IoTのセンサーデータ、マシンデータの活用で可能性は無限大に

このように、データドリブンにインターネットを使っていく企業での利用から始まった「TREASURE CDP」は、デジタルマーケティングツールとして認知され、マーケターのためのプラットフォームとして確立しつつある。

「セミナーなどを通じ、顧客事例でCDPの活用法を知っていただくことで、どんどん輪が広がっています。ブランドからメディア、リテールへとコンバージョンさせるフィールドはますます広がりを見せています。そして、次なる可能性を秘めていると注目しているのがIoTの世界です」

既に先行事例として「車載器を通じて車をセンサーとして活用する」「風力発電事業にIoTモニタリングシステムを導入する」というケースも出てきているが、同社が見据えるのはIoTで収集できるデータを余すところなく活用するにはどうしたらよいか、という壮大なものだ。

総務省統計では2020年にインターネットにつながるデバイス数は世界で530億、日本でも15億に上ると想定されている。それに必要不可欠な無線ネットワークとして、3G/LTEより省電力・低コストで、Bluetoothより広域をカバーできるのがLPWA(Low Power Wide Area)だ。ここに「TREASURE CDP」を掛け合わせることで、あらゆるIoTデバイスからログデータを収集できるようになり、デバイスごとの稼働状況の把握や予防保全など、新たなソリューション提供につながるようになる。

水道・ガス・電気といった社会インフラはもちろん、AED・空調などの設備、健康管理・見守りなどのヘルスケア、そして物流、農業といった各種産業内に存在する情報を、IoTデバイスを通じて収集・保管・分析・連携できるようになれば、トレジャーデータの活躍の場はWeb・広告領域だけにとどまらなくなる。

「IoTネットワークが強固に構築されるほど、スマートフォンからデータが上がってくるのと同じように、エンドユーザーが持っている末端機器からのデータ収集が容易になります。洗濯機、冷蔵庫といった家電から自動ドア、自動車、バイクなど、個々のマシンに組み込まれるIoTのデータ分析・解析が実現し、エンドユーザーが便益を享受できるようになるでしょう」

現在でも既にスマートウォッチの購買後の利用状況を把握・分析して、商品企画や広告宣伝、マーケティングに生かすなど、より上流に向けた提案が考えられている。モノからコトへの変化と同様に、プロダクトの販売だけでなく「利用されること」が企業の目的となる時代には、データ分析がますます価値を示すようになるのだ。

ユーザー、ソリューションをつなぐエコシステムの未来に、日米スタッフが挑む

そして、その時にはデータ活用ソリューションの連携に加え、ユーザー企業同士のデータの連携も視野に入ってくると堀内氏は言う。

「ジャンルは異なっても、A社とB社に共通の生活者がいる時に、それぞれのデータを掛け合わせると見えてくるものがあると考えています。実際に、現状の『TREASURE CDP』ユーザーに多いイノベーター層の間では、お互いに興味があり、かつ了承を得られれば当社がブリッジするようなケースも始まっています」

トレジャーデータ社が目指すのはデータが活用されて、さらに展開される世界だ。単一のプラットフォームだけでなく、ソリューションを連携させ、IoTやデジタルマーケティングで顧客同士もデータを相互活用できる土台を作ること。その上で施策に生かせる実行力の高い、使い勝手の良いサービスをつくることを目標に掲げている。この壮大なビジョンを実現するには、「ツールの機能改善や追加もまだまだ求められていますし、パートナーへのさらなる積極的なアプローチも必要です」と堀内氏は言う。当然、人員も不足しているが「真の意味で、ビッグデータを活用するという時代に、あらゆる業界や職種、領域のイノベーターらとの協業、ネットワークが期待できるのは、ビジネスパーソンとしての可能性を飛躍的に広げるチャンスだ」と力強く語る。

もともと米国のみで運営されていた時から日本企業のユーザーも多く、日本にも拠点を置き、現在130人のスタッフは日米でほぼ半数ずつを占めているというトレジャーデータ社。「海外発の企業でありながら、日本人が創業したという特殊なバックグラウンドもあり、独特の面白さがあります」と堀内氏が目を細めるように、日本と海外、その良いところを掛け合わせたスタートアップらしい勢いと風通しの良さが感じられる。ビッグデータのさらなる活用法を追求し続け、世界をリードするトレジャーデータの未来に期待したい。

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